ミスリード本の過ち⑥
銀行から借りまくれ!
という類のミスリード本が絶えません。今も
「節税・無借金経営は今すぐやめなさい」(久保龍太郎著)
という本が書店に並んでいます。
その中身を拝見すると、
なぜそのようなことが言えるのか、理解できない過ちが、
多々あるのです。
⑥銀行員が喜ぶことをしなさい
この本では、次のように書かれています。
「銀行マンも人間ですから、彼らの心理や感情を理解して、
彼らにとってプラスになることをしてあげれば、
融資審査もとおりやすくなります。」
彼らにとってプラスになること、というのが、
お金を借りることである、というわけです。
要は、銀行員が喜ぶことを積極的にしなさい、
と書かれているのです。
銀行員の心理や感情を理解することは必要です。
しかし、彼らに融資審査を通りやすくする権限など、
まったくもって、ありません。
そのような立場でもありません。
支店長の心象で融資判断がされていたのは、
バブル崩壊以前の話しであり、
現在のような格付(スコアリング)が導入されるより、
以前のことなのです。
現在の格付け(スコアリング)は、本部の融資審査部が行います。
決算書のデータをもとに入力し、決定ボタンを押せば出来上がりです。
そこに、支店長の入る余地がありません。
本来であれば、決算書による定量要因とは別に、
支店長らの判断を要する定性要因の評価項目もあります。
200点満点のうち、79点を占めます。
しかし、この定性要因評価は運用されておらず、
定量要因の格付け(スコアリング)だけで融資判断されているのが、
実態なのです。
なぜなら、
支店長や銀行員の判断は、信用できないし、
労力もコストもかかるからです。
そんな精度が低い判断を取り入れるより、
コンピューターによる融資判断に任せたほうが、
不良債権になりづらい、と銀行は考えているのです。
借りたいといえば、銀行員や支店長は喜びます。
しかし、だからといって、借りる必要もないのに、
銀行員を喜ばせるために借りるなど、
そんな経営は絶対にあってはならないのです。
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