モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)の罪 ②
2009年12月、
民主党鳩山政権の下、施行されたのが、
モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)です。
2008年のリーマンショック後、
資金繰りが厳しい中小企業を助けるべく、施行されました。
しかし、この法の罪は、思いのほか大きかったのです。
② 金融担当大臣の罪
モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)の設立を主張し、
施行させた中心人物が、内閣府特命担当大臣(金融担当)、
亀井静香氏でした。
「リーマンショック後、多くの中小企業が銀行から
貸しはがしにあって倒産が増えている!」
この主張をもとに、法律が2年の時限立法として施行されました。
モラトリアム法により具体的には、
銀行は中小企業の格付(スコアリング)をワンランク上げなさい、
これまで貸せなかった会社にも貸しなさい、
となったのです。
当時の状況を振り返ると、経済評論家たちは反対しています。
「資本主義の枠組みを逸脱している!」というものです。
まさにそのとおりです。
全国銀行協会も反対していました。
「大臣がおっしゃるような貸しはがしはない。」
と、言っていたのです。
しかし、現実には中小企業の倒産件数が増えました。
しかしそれは前回書いたとおり、
そもそもそれは、その会社の経営財務に問題があったからです。
どこもかしこも倒産したわけではありません。
特に、当時の動きをみると、この銀行協会の主張があだになっています。
「銀行は公的資金の注入を受けて倒産をまぬがれたし、
今もほとんど法人税を払っていないじゃないか!」
と、与党や世間から、バッシングを受け始めているのです。
「国家の税金で助けてもらった銀行が、何を言っているんだ!」
「自分達は助けてもらいながら、中小企業を切り捨てるのか!」
という声が多々上がったのです。
これらの声に支えられ、
亀井大臣は、モラトリアム法の可決にこぎつけたのです。
しかし、
このときの鳩山政権は、発足後8ケ月で総辞職となりました。
そのわずかの期間に、モラトリアム法は生まれたのです。
そしてその張本人である亀井大臣も、失脚したのです。
亀井静香氏は最後の会見で、
「中小企業の資金繰りはだいぶ楽になっている。」
と述べています。当たり前です。
倒れるべき会社にまで、お金が流れたのですから。
このモラトリアム法を機に、今でいう、
ゾンビ企業がうごめくことになりました。
そこにはまた、銀行の罪があったのです。(続く・・・)
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