モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)の罪 ➂
2009年12月、
民主党鳩山政権の下、施行されたのが、
モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)です。
2008年のリーマンショック後、
資金繰りが厳しい中小企業を助けるべく、施行されました。
しかし、この法の罪は、思いのほか大きかったのです。
➂銀行の罪
2009年12月に、2年の時限立法で施行された
モラトリアム法は、さらに1年超の延長を経て、
2013年3月末に終了しました。
格付(スコアリング)をワンランク上げて、
これまでなら貸さなかった会社にまで貸す、
というモラトリアム法は、その時点で終了したのです。
ところがです。金融庁は銀行に対し、
「今後も貸付条件の変更や円滑な供給に努めること」
としたのです。
その言葉をたてまえに、銀行は、
モラトリアム法対応で貸した貸し先に、
そのまま貸し続けたのです。
当時の銀行はすでに、貸す先がなくて困っていました。
その銀行にとって、モラトリアム法の対応は、
恵みの雨のようなものでした。
地方銀行ではおそらく、その対応の融資先があるから、
金利を稼げている、という状況もあったはずです。
その時限法が終わり、対応した融資をやめる、
ということは、もはやできない状況に陥っていたのです。
しかも、金融庁は、今後も融資・供給に努めなさい、
というわけです。
「ならば、とことん貸し続けたらいい。」
と銀行は、資金供給を継続したのです。
この罪は大きいです。
本来なら倒産しているはずの会社にまで、
どんどん貸し続けたのですから。
こうして、ゾンビ企業が増えたのです。
ゾンビは、死んでいるのにうろうろと徘徊する、
ホラー映画の定番キャラクターです。
しかも、生きている人間の血肉を食べて徘徊しつづけます。
同様に、ゾンビ企業は銀行のお金、取引先のお金を
食べ続けて徘徊しているのです。
倒れるなら早く倒れる方が、負債額は小さいです。
なのに、貸し続けることで負債が膨らみます。
となると、いよいよ負債が膨らみ過ぎて倒れたとき、
その債権回収で泣きをみるのは、中小企業の取引先です。
銀行の方がぬかりなく、回収にかかります。
銀行は、貸せる限界までとことん貸し、
都合が悪くなれば、そこで貸すのをやめます。
そこまで徘徊させ続けて、ゾンビ企業から金利を吸い続けるのです。
で、回収準備を整えて、資金融資のスイッチを切ります。
この罪は、モラトリアム法がらみでも、最大の罪なのです。
(続く・・・)
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