モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)の罪 ④
2009年12月、
民主党鳩山政権の下、施行されたのが、
モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)です。
2008年のリーマンショック後、
資金繰りが厳しい中小企業を助けるべく、施行されました。
しかし、この法の罪は、思いのほか大きかったのです。
④社長の罪
モラトリアム法という悪法を、
仕掛けた政党と大臣、仕組んだ銀行、
いずれも罪があります。
そして何より、
その融資を受け続けた企業の社長の罪も、
大きいのです。
経営再建を不可能な状況に導いたのは、
とにもかくにも社長の責任です。
「リーマンショックは厳しかったから仕方がない!」
とおっしゃる社長もいるかもしれません。
それでも、ショックの影響を受けたすべての会社が、
モラトリアム法の融資を受けなければならないほど、
財務状況が危機に瀕していたわけではありません。
そもそも借入依存の体質にあり、借金が多かったのです。
格付(スコアリング)は低く、追加融資を受けるのは厳しかったのです。
つまり、不況期への備えがなかったのです。
で、モラトリアム法に乗じて、融資を受け続けたのです。
とはいえ、融資を受けたからと言って、
それまでの財務体質は簡単には変わりません。
売りモノ・売り先・売り方、回収の仕方を変える、
不良資産を整理する、不要な資産は売却する、
などといった体質改善の行動を起こさなければ、
不健全な財務体質は変わらないのです。
融資による延命措置を受けていただけです。
しかし、そのような状況はいつまでも続きません。
地銀は今、再編・統合が進んでいます。
モラトリアム法の流れで、
今も融資を続けている多くの貸し先は、
業績の良くない地方銀行が多いのです。
どちらかといえば、
統合される側、食われる側の銀行が多いのです。
そのような銀行ほど、かなり危ない会社にまで、融資をしています。
なので、銀行の統合や合併が起これば、
銀行の体制が変わり、支店長が変わります。
当然、融資姿勢も見直されます。
ある日突然、
「これ以上はお貸しできません。」
と、死の宣告を受ける日がやってきます。
結局、モラトリアム法の融資は、
倒産を先延ばしにしただけの、悪法融資だったのです。
そんなことに預金を融資に回すより、
健全な財務体質の会社により多くの融資をすることが、
世のためであり、銀行の使命だったはずなのです。
この法に関わった皆が罪を犯し、
行き着く最終的なツケは国民が被る、ということになるのです。
このような悪法は二度とないことを、祈るばかりなのです。
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