事業を売却します③
近畿地方で製造業を営む(株)山川の社長から
事業譲渡の相談が入りました。
事業を売却先の(株)森村との間で、
基本合意書を結ぶ前段階に、
こちらの希望金額の根拠づくりを行います。
今回は、一般的なM&Aと違って
仲介会社を挟まずに、当事者同士が直接交渉します。
こうした交渉は、とにかく先手必勝です。
こちらが主導権をもって、金額提示や書類作成を行ってゆくべきです。
(株)山川が売却する事業の売却金額の計算として、
売却する固定資産の評価額に“のれん代”を加えます。
この“のれん代”をいくらにするか、がポイントです。
つまり、のれん代をいかにかさ上げして、
先方に提示するか、ということです。
「社長、今回、売却する事業の営業利益というのはお分かりですか?
事業別とか部門別に、採算をとってらっしゃいますよね?」
「いえ、実は、それが恥ずかしながら、
細かく採算別に把握していないのです。
本来は、事業別や部門別に厳しく採算管理すべきなのでしょうが・・・」
こうしたことは、中小企業ではよくあることです。
「わかりました。しかし、皆目見当がつかない、
ということはないと思います。
たとえば、さすがに材料費率として売上高の何割以下だとか、
業界的に平均水準といった基準はないものでしょうか?」
「あぁ、それなら、あります。」
「仕方ありませんが、
原材料率はその数値を使いましょう。
そのあとは、製造労務費や経費の計算です。
直近の決算書を基に計算するのですが、
このなかで、特別な費用、損失はありませんか?
それを取り除いて、正常的な原価を計算するんですよ。
売上高は、今後の事業譲渡をした場合を見据えて、
直近の月次売上高で、一番売上が多い月の月商を、
12倍して年商見込みを算出しましょう。
これで粗利益が出ます。
こうした“のれん代”の計算で大切なのは、粗利益です。
自社に有利な金額が出るように、工夫してください。」
「それで構わないのですか?」
「こういうのは、まず絵に描いた餅でも何でもよいので、
まずは絵を描くことが大切なのです。
ダメもとで高いボールを投げてみないことには、
高い金額で売れるものも売れません。」
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