全損保険がなくなるわけではない ①
2月6日の日本経済新聞一面に、
「節税保険、見直し」との記事が掲載されました。
要は、全額損金計上の保険商品を見直す、という内容の記事です。
4月から見直しと書かれているので、
慌てて加入しようとされている方も多いことでしょう。
しかも時期が年度末に近い会社も多いので、
なおさらこの記事が目についたことと思います。
しかし、
すべての全損商品が見直しになるわけではありません。
法人保険のエキスパートの方々にお聞きしました。
加えて、「見直し」なので、なくなるわけではなく、
多くは料金を見直すことで、商品としては継続する、というものです。
保険料額が大きく、そのぶん、節税効果も大きすぎることに、
国税庁から待ったがかかった、ということです。
特に商品としては、
「災害重点期間付定期保険」というタイプです。
加入後最初の10年間は、交通事故や飛行機事故など、
不慮の事故による死亡のみを対象にした保険です。
そうすれば、
不慮の事故なので、確率的には年齢に関係なく発生する、
ということで、高齢者でも加入できる商品だったのです。
この商品が、この数年間で劇的に売れたのです。
売れすぎたから、チェックが入ったのです。
気を付けてほしいのは、このような記事が出ると、
身の回りの保険屋が、
「こんな記事が出ましたよ!今のうちに!」
と保険を売り込みにきます。
何度も言うように、全損商品の保険がなくなるわけではないのです。
一部商品の見直しなのです。
慌ててあれもこれもと、加入することのなきよう、お願いします。
金融庁とすれば、一面の記事になって、抑制がかかれば、
それでOKなのです。
それに、
日経新聞の記事も税務のことなど、そう詳しくもありません。
記事を読んでいると、
その保険に入れば税金を払わなくてもいいみたいに読めます。
そうではなく、
保険は利益の先延ばしですから、いずれは利益計上するのです。
その出口をうまく操作することで、結果として節税に繋がるのです。
それに、死亡時に保険金が出る、という保険機能はあるのです。
節税の前に、保険機能ありき、なのです。
経営者であれば、万一に備えて保険に加入すること自体、
当然のことです。
で、加入するなら全損商品を検討するのは、当たり前です。
このようなニーズがある限り、
全損保険商品は形を変えて、あり続けます。
新聞記事や保険を売りたい保険屋に、惑わされないようにしてください。
そしてこの記事の根本には、
保険会社同士の攻防が、あるのです。(続く・・・)
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