うちの税理士、信用できなくなりました。④
「うちの地域でいい税理士をご紹介いただけませんか?」
という問い合わせを、必ずと言えるほど、
一年に数社からいただきます。
「どうしたんですか?」と尋ねると決まって、
「うちの税理士、信用できなくなりました。」
との返事をいただくのです。
④「それは対象外です」
中小企業の優遇税制に、「即時償却制度」があります。
機械設備、ソフトウェア、建物附属設備など、
全額を単年度で償却できる制度です。
時限立法ながら継続中で、2021年の3月末で活用できます。
活用すれば当然、減価償却費が増え、
稼いだお金がその分、多く残ります。
実行期間中に、ぜひとも活用したい制度です。
しかし、ここでも税理士事務所が壁となることがあるのです。
例えば、パチンコホールを展開する会社でのことです。
店舗の空調設備を即時償却するにあたり、
「風俗営業の会社は対象外です。」
と税理士事務所の担当者から言われました。
その会社の経営者は言い返しました。
「対象外なのは、性風俗営業の会社であって、
それ以外の風俗営業許可の会社は、対象になりますよ!
制度の内容をよく読んでください!」
となり、
「こっちが知らなかったら、
言われたままに通常償却で処理していたところですよ!
うちの税理士、信用できなくなりました!!」
と、その経営者は立腹していたのです。
他の会社でも、税理士事務所から、
「工業会がダメと言うのなら、ダメでしょう。」
と言われました、という事例もありました。
業務用の大きなエレベーターを導入するときのことです。
即時償却を受けるには、二つの方法があります。
ひとつが、その設備の工業会から、
その設備は最新の設備で生産性向上に役立つものである、
という証明書をいただくものです。
ところが、なかには、
「それは証明書を発行できない」という工業会があるのです。
普通の税理士は、
それで「対象外です。」と決めてしまいます。
私たちは、ならば、もうひとつの方法に切り替えます。
その設備導入による生産性向上の損益を表し、
経済産業省の認可を得て、即時償却する方法です。
これは、資料作成の手間が要ります。
その手間を、税理士事務所は嫌がるのです。
やったことがなければ、なおさらです。
加えて、
「工業会がダメなら、認可をもらえるはずがない。」
と決めつけてしまっています。
工業会と経済産業省は、完全なる別組織です。
判断が異なることなど、当たり前なのです。
結局、この新規エレベーター設備導入の場合も、
経済産業省の承認を得て、即時償却できたのです。
工業会がダメと言っても、その設備内容からして、
「これは生産性向上に役立つものだ」
と判断できるものであれば、
その根拠をそれなりに数字で表わし、
承認を得て、即時償却できるのです。
税理士事務所の言いなりになっていたら、
損することばかりなのです。
だから、経営者にも、
ある程度の税務知識を持ってほしいのです。
(古山喜章)
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