うちの税理士、信用できなくなりました。③
「うちの地域でいい税理士をご紹介いただけませんか?」
という問い合わせを、必ずと言えるほど、
一年に数社からいただきます。
「どうしたんですか?」と尋ねると決まって、
「うちの税理士、信用できなくなりました。」
との返事をいただくのです。
③「間違っていても、わびない」
ある会社で、社長から後継者へ、
株式の贈与をまずは進めてゆこう、
ということになりました。
非課税枠は110万円ですが、
父から子への贈与であれば、贈与税の特例措置もあり、
1000万円の贈与でも、
贈与税は180万円程度で済むからです。
で、後継者から、
「顧問税理士に株価を算定してもらいます。」
となりました。
出てきた株価を見て、不思議に思いました。
安すぎるのです。
「剰余金がこれだけあるのに、
額面より少し高いだけ、って、これきっと間違えてるよ。
うちは無借金だし、大きな負債もないから。」
後継者もおかしく思い、すでに問い合わせていました。
「私もそう思って会計事務所に確認したんですが、
『間違えていません。おたくの業界は、
日経平均の株価が低いから、その金額になります。』
っていうんですよ。」
「会計事務所の大先生がそう言ってるんですか?」
「そうです。
『うちの担当の計算で間違いない。』
て言うんです。」
それでも、どう考えてもおかしいので、
よくよく計算内容の詳細を見てゆきました。
すると、剰余金の算出が少ない、
ということがわかりました。
「これやっぱり、剰余金のところ、間違えているよ。
もう一度、会計事務所に確認して!」
となり、結局、間違えていたのです。
そのまま計算して贈与をしていれば、
あとから追徴課税を受けるところだったのです。
大先生は、下の者に任せっぱなしで、
チェックなど恐らく全くしていなかったのです。
再び後継者から連絡が来ました。
「うちの税理士、信用できなくなりました。
間違いの部分を指摘しても、
『そのようですね。』
だけで、担当からも大先生からも、
すみませんの一言もないんですよ。」
となったのです。
結局、後継者へのバトンタッチとともに、
会計事務所を変えることになりました。
その会計事務所の大先生は、
先代社長の高校時代の同級生だったのです。
ご高齢であり、しかも次代を継ぐのは、
その間違えていた担当者だったので、
後継者はなおさら不安だったのです。
株価にしろ、何にしろ、
会計事務所に計算してもらったから、
といって、安心できないのです。
経営者がある程度は、
財務知識や決算書を読む力を身につけておかないと、
大変な過ちにつながることが、あるのです。
(古山喜章)
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