無知の恐怖①
先日、相談に来られた東北建材(仮称)での話です。
創業家は、大谷一族であり、現在の大谷社長は、3代目です。
「大谷社長、ご相談というのは?」
「はい、当社には少数株主がおり、
この少数株主から株主が分散しないようにしたい、
というのが一番の目的です。」
「よくあるお話ですね。
現在、社長の持株割合はどのくらいでしょうか?
後継者はおられるのでしょうか?」
「はい、持株割合は、私と妻でだいたい6割くらいですかね。
後継者は、長男を予定していますが、
まだ1割くらいしか持たせていません。」
「それなら、少数株主対策はもちろんですが、後継者に支配権を持たす、
ということもテーマとして考えないといけませんね。
事前に決算書を頂きましたが、
自己資本は、40億円ほど積みあがっていますし
御社の状況からすると、株価は結構高いでしょう。」
「まぁ、それはそうなんですけどね。
とりあえずは、少数株主の対策をと考えているんですよ。」
「まぁ長い目で見れば、それはそうなんですけど、
なぜ、そう思われるのですか?」
「いえ、実は、いまから半年ほど前にちょっとした事件がありまして、
もともと創業一族、といっても、最近は当社の経営にタッチしていなかった人間がいたのですが、その方が20%の株式を持っていたんです。
ところが、あることをきっかけに、
その20%の株式の対価として、8億円を支払うことになりまして。」
「8億円ですか?!もう支払ったのですか?
支払う予定なのですか?」
「もう支払っています。
実は、まだ当社には少数株主がいますので、
同じようなことにならないように対策を、と考えています。」
「しかし、8億円というのは、どっからどうやって、そういう話になったのですか?」
つづく
(福岡雄吉郎)
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