「役員報酬は、いくらまでなら認められるのか?」
と質問がときどきあります。
役員報酬が高すぎるかどうかは、次のポイントから判断されます。
①役員の職務の内容(仕事の内容)
②会社の収益(儲かっているかどうか)
③従業員に対する給与の支給の状況(他の従業員との比較)
④事業規模が近い会社の役員報酬の状況(ライバル企業の役員報酬)
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③従業員に対する給与の支給の状況(他の従業員との比較)
例えば、従業員の給与は減らしているのに、
自分たち役員の給与を大きく増やす、というのは、
税務署からは理解を得にくいといえます。
また、上記の②とも関連しますが、業績が右肩下がりで、
従業員のボーナスを削っているのに
役員報酬だけは増やしている、という場合もいただけません。
税務調査は、ある意味、裁判と似ている部分があります。
調査官に、『この経営者は、しっかりやっている』と思われれば、
調査は軽くなりますし、
『この経営者は、会社を私物化していてけしからん!』と思われれば、
調査は深くなってしまいます。
④事業規模が近い会社の役員報酬の状況
同じようなご商売、同じような規模(売上高)のライバル会社の役員報酬と比較して、
役員報酬の高い、安いを判断する、ということになります。
これも分かりにくいですね。
そもそも同業他社の役員報酬がいくらくらいなのか、情報が分からないのですから。
一応、調べようと思えば、調べることはできるのですが、
ピンポイントでライバル企業の役員報酬の水準までは調べられません。
役員報酬の水準があまりに高すぎて
裁判まで行ってしまった場合は、
国税局は、多少強引にでも同業他社の役員報酬のデータを引っ張り出して、
戦いに挑んできます。
ただし、役員報酬が税務調査で指摘されて、
裁判までいくというケースは、かなりマレです。
私たちの顧問先でも、
月に2000万円ほどもらっている方が複数いますが、
これまで役員報酬が高すぎる、と指摘されたことはありません。
取引先である上場会社に比べると明らかに小粒であっても、
役員報酬は、上場会社の社長よりもはるかに多くもらっている。
それでも否認されたことはないのです。
年商20億円、経常利益が1,000万円の会社でも、
月に1,000万円ほどもらっている方も何人かいますが、
税務調査で指摘されたことはありません。
これまで見たように、①~④の基準は、いずれも曖昧なものです。
なので、国税局のOBの方も
「役員報酬は否認しづらい」とおっしゃっているのです。
(福岡雄吉郎)
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