未払い請求が2年から5年に ②
残業代の未払い請求を起こされた場合の、
最大訴求期間を2年から5年に変えようとする
動きが進んでいます。
「2年のさかのぼりでも大きなリスクなのに、
5年もさかのぼり支給を言い渡されたら、
経営が成り立たない!」
というのが経営者側の声なのです。
とはいうものの、このような動きが出始めた以上、
いずれはそうなるものと考えるしかありません。
中小企業に猶予期間があるにせよ、時間の問題なのです。
では、どうすればよいかです。
2年でも5年でも、最大期間の訴求を申し渡されるのは、
労務管理が悪質な状態だと判断されたときです。
今の法律に完璧に見合うようにするのはムリだ!
とわかっていても、
前身しようとする姿勢が表れていれば、
労務トラブル時に最大期間を訴求されることはありません。
特にサービス業・小売業などの、労働集約産業の場合、
人員確保さえ厳しい環境なのです。
労働法に適さない実態となる場合も、往々にして生じます。
それでも、
10歩進まなければいけないところを、
1歩でも半歩でも、進める行動を行っているか、です。
それだけで、2年や5年の遡りになることは、避けられます。
そもそも最大訴求を受ける悪質な状態とは、どんなことかです。
・就業規則が古く見直されていない
・就業規則を各職場においたり、変更を通知したり、していない
・労務に関する相談窓口がなく、あっても周知されていない
・過去にも同じ指摘があり、それから何ら改善されていない
・労務管理に関するシステム・仕組み改善など、まったくされていない
・店長等管理者への労務管理に関する教育指導が全くされていない
・本部が現場の労務管理の実態をつかむ行動をおこしていない
・現場の声を本部が聞いても、なんの行動もされていない
といったことなどです。
たとえ労働集約産業であっても、
それくらいならできるだろう、と思われることばかりなのです。
人手不足による問題ではなく、管理マネジメントができていない、
という状態が、悪質な状態とされるのです。
それを人手不足のせいにしてはいけないのです。
「監督署にたれこまれたら終わりだ!」
というような無管理・無改善状態にしないことが、
2年であれ、5年であれ、
最大訴求を受けないための、大きな対策となるのです。
(古山喜章)
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