決算後の銀行への対応 ①
そろそろ決算が確定します、
という会社が多い時期に入ってきます。
「銀行にはどう対応すればよいでしょうか?」
と気にされる経営者も多いです。
この場合、対応といっても、一律ではありません。
まず大きく、銀行からの融資の有無によって、
決算確定後の銀行への対応は、異なるのです。
①銀行融資を受けている会社の場合
要は、借金のある会社です。
設備産業・メーカーなど、業態上、借入金が必要になる会社、
卸売業など、在庫が必要で回収も時間がかかる会社、
などが、対象になります。
本体の会社では借りていないけれど、子会社で借りて、
親会社が保証をしています、という場合も同様です。
その場合は、
決算報告と今期の業況見通しを銀行に報告します。
その前に当然、営業利益が最大限になるよう、
決算書を整えて確定してください。
損益計算書では、
売上高に回せる雑収入は売上高にし、
特別損失に回せる経費は特別損失に計上しておきます。
銀行が最重要視する利益は、営業利益だからです。
貸借対照表では、経営者が貸しているお金があるなら、
「経営者借入金」となっているか、確認してください。
銀行は、決算書にある負債(借入金)を、何年で返済できるか、
債務償還年数を重視してチェックします。
債務書簡年数は、
借入債務÷(営業利益+減価償却費)で算出します。
経営者が貸しているのに、長期借入金と貸借対照表にあると、
借入債務として判断されます。
「経営者借入金」とあれば、借入債務には入りません。
その分、借入債務が小さくなり、
「債務償還年数」も小さくなり、評価が上がるのです。
決算が確定したら、
支店長あてに約束をとりつけて、こちらから銀行へ伺います。
呼ぶのではありません。こちらから伺うのです。
で当日、決算状況と、本年度の業績動向を報告します。
特に、決算状況が芳しくなかったのなら、
おおげさにでもよいので、それは単年度のことで、
今年は業績が回復します、と言ってください。
来年には、支店長も変わっているかもしれないのですから。
とはいえ、銀行にこびへつらうのではありません。
上から目線で報告するのでもありません。
良い条件で融資を受け続けるには、
それなりの仁義を通し、優良顧客とみなされることを、
しておくのです。
なぜなら、
このようなことをする中小企業は、少ないのです。
よそがやらないことをしておくことで、
いざ条件交渉の時に、
「うちはよそに比べて、それなりの仁義を通しているはずですよ。」
と言い切れるのです。
決算報告は、その交渉時に向けての、
仕込みみたいなものなのです。
(古山喜章)
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