決算後の銀行への対応 ➂
そろそろ決算が確定します、
という会社が多い時期に入ってきます。
「銀行にはどう対応すればよいでしょうか?」
と気にされる経営者も多いです。
➂借入金のない会社はどう対応するのか ~その1~
借入金がない会社でも、大きく二つに分かれます。
まずひとつは、
借入金はないけれど、当座貸越の枠があります、
という会社です。
当座貸越は、1億とか2億とか、
金額の枠を設定して、いつでも使えるようにしておくものです。
枠設定した金額のなかで、借りた金額が短期借入金として処理されます。
当座貸越枠を使うのは基本、それを必要とするときだけです。
何らかの手付金など、急な資金需要が発生したときです。
この場合、
借入金がなくても、当座貸越枠を継続するため、
銀行は決算書内容の確認を必要とします。
なので、こちらから声をかけずとも、銀行側から、
「そろそろ決算書はできましたでしょうか?」
と言ってきます。
それを待てば結構です。
こちらから連絡して、銀行へ出向くまでせずとも構いません。
但し、これはあくまでも、当座貸越枠を使っていなければ、
の話しです。使っていれば、
借入金があるときの対応を、とる必要があります。
銀行員が会社へ来たら、渡すのは、
「貸借対照表」「損益計算書」と、付随する
「販売費及び一般管理費内訳」と、あれば「製造原価報告書」
までで結構です。
おそらく銀行員は、
「決算書一式全部いただけますでしょうか?
各勘定科目の明細も全部、いただけますでしょうか?」
と言ってきます。
そこまで渡す必要はありません。
「当座貸越の枠設定の確認のためだけなら、
どうしてそこまで必要なんですか?」
と言い返せばよいです。
銀行は、当座貸越枠を継続してもよいかどうか、
格付(スコアリング)の確認をするだけです。
それなら、各勘定科目の明細など、必要ないのです。
ここで丸々一式を渡す経営者が、まだまだ多いです。
「そうするものだと思ってました!」
「銀行に言われたら、必要なのだと思ってました!」
となるのです。
全部渡すから、その明細から資金需要や経営者の性質を読み、
よからぬ提案をしかけてくるのです。
前期に比べて、有価証券が増えているなら、
買う気があるとみて、提案してきます。あるいは、
同族判定の株主に、経営者の父や母が載っており、
そこそこの株数を持っているなら、事業承継の提案にやってきます。
決算書の明細を渡すということは、
提案のネタをさらけだすのと同じなのです。
当座貸越枠もなく、全くの無借金、あるいは、
現時点では全く取引のない銀行への対応、
となると、また別の対応になるのです。続く…。
(古山喜章)
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