消えた神話を今も信じる人たち ②
時代が変わり、
取り巻く環境が変われば、経営の神話も様変わりします。
変化に応じて古き神話を捨てることも、経営には必要です。
なのに今なお、消えた神話を崇め、
変われない経営者が、あちらこちらにおられるのです。
②銀行神話
貸借対照表を拝見すると、
現預金がたっぷりあるのに、わずかながら借入金が残っている、
というケースがあります。
全額返すだけのお金が十分あるのに、返さないのです。
「返せばいいじゃないですか!」
と言うと、この場合、返事は決まっています。
「いやぁ、銀行とのおつきあいですから…。」
この世の中、おつきあい、という名目だけの
銀行借入だけでも、一体どれだけあるんだろうか、
と思ってしまいます。
それくらい、よくある話しなのです。
「このおつきあいの借入金があるから、
いつでもすぐに資金を用立てることができる。」
「普段から借りておかなければ、
わが社のような会社に、銀行はすぐには貸してくれない。」
等と、本気で思っておられのです。
まさに、「銀行神話」から抜け出せない方々なのです。
しかも決まって、カネ不足の時代をご存知の方々なのです。
確かにその時代は、
不足しているものを融通してもらうのですから、
駆け引き上、おつきあいという名目の借入金が必要だったのです。
貸す側が優位な時代だったのです。
しかし、今や時代は180度変わっています。
超カネ余りであり、貸す先が不足している時代なのです。
借りる側が優位な時代なのです。
だから、銀行はなんとか借りてもらおうと、
財務状況の盤石な中小企業に日参し、
何も言わなくても商品・サービスなどの情報提供に
力を入れるのです。
で、うまく交渉すれば、金利は0.15%のように、
バブル期では考えられないような、低金利で調達できるのです。
銀行神話から抜けだせていないと、それができません。
いつまでも、お付き合いという名目の下、
余計な借入金をしてしまっているのです。
そのような経営者は、銀行員にとって、とてもありがたい存在です。
「いつもありがとうございます。
資金が必要な折は、いつでもすぐに用立ていたします。」
と、経営者が喜ぶような言葉を銀行員は投げかけます。
それを聞いた、銀行神話かぶれの経営者は思うのです。
「やはり、おつきあいは必要だな。」と。
こうして、
銀行神話から抜け出せないままになってしまうのです。
資金調達における、
時代の変化を見抜くことも、経営者には重要なのです。
(古山喜章)
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