よその銀行からも借りてください。
「銀行がへんなこと言ってきたんです。」
と、ある経営者が言いました。
「何を言ってきたんですか?」とたずねました。
「商工中金から長期で1億円借りる段取りで進めていたんですが、
その担当者から
『3千万円くらいは、よその銀行から借りてもらえませんか?』
と言ってきたんですよ。」
で、さらに伺いました。
「え!? 1億円のうち、3千万円ですか?」
「最初は『できれば別に』て言ってきたんですが、
うちも余計な借入をする気もないし、
結局、1億円のうちの3千万円でも構わない、
ということになりました。
なので、商工中金からは7千万円です。」
「わざわざ融資額を減らさせたんですか?」
「そうなんですよ。」
「なぜそうなのか、聞きました?」
「ええ、
商工中金だけの融資だと、民業圧迫だと言われるから、
と商工中金の担当者が言ってました。」
とのことだったのです。
一昨年に起こった、商工中金による不正融資事件の際、
「政府系なのに、制度融資以外にも融資しやがって!
民業圧迫の報いだ!
俺たちの客まで奪うな!」
と言わんばかりの体で、市中銀行から一斉にたたかれたのです。
そのことへの配慮、と言うことなのでしょうが…。
「でもそれって、ヤラセ番組みたいなもんじゃないですか!」
その経営者に言いました。
「そうですよね。」
「で、他の銀行に話したんですか?」
「取り引きのある地銀に話しました。」
「どうでした?」
「めちゃめちゃ喜んでました。」
「そうでしょうね。条件もほぼ、こちらの言いなりでしょ。」
「そうなんですよ。それはそれで、助かりました。」
つまり、
民間銀行に忖度して融資しなければいけない、
という状況に、商工中金は追い込まれている、
ということなのです。
資金需要が不足しているなかでの、
銀行間のねたみ・やっかみが、なせる出来事です。
『ねじれ融資』とでも言いましょうか。
商工中金からのみの資金調達を予定しているなら、
「民業圧迫って、言われないですか?大丈夫ですか?」
と、リスクをあおってみてほしいのです。
(古山喜章)
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