貸借対照表に、内容がわからないものありませんか?
決算書を拝見した際、貸借対照表の中身について、
質問させていただく機会が多いです。
「この有価証券って、内容はどんなものですか?」
とお聞きして、サッと答えていただける方は少ないです。
多くの方は、
「??なんでしょうね…。確認してみます。」
となります。
金額が小さければ、私たちも特に質問しません。
が、貸借対照表の総額である、総資産の10%以上を
占めておきながら、「わかりません」では困るのです。
内容を聞いてみると、
本業に関わりのある有価証券もあれば、
まったくもってなんの関係もない、
投機的な有価証券もあります。
本業に関係ないものなら、売却するなりしてほしいのです。
買ったときよりも値段が下がり、売却損が出ているのなら、
なおさらです。
売って多少はお金になり、
売却損となる特別損失を計上して税引き前利益を減らし、
法人税でのキャッシュアウトを減らす。
まさに、決算書から埋蔵金を掘り起こすことになるのです。
しかし、
決算書の中身がわからなければ、どうしようもありません。
特に貸借対照表です。
資産のなかにある含み損を吐き出さずに、
5~6年も経過すれば、かならずいくつかの膿みがたまります。
売りようのない在庫、
回収しようのない売掛金、
今はもう使わない機械・設備、
遊休地になっている土地、
価格が大きく下落している土地、
趣味やつきあいで買った書画骨董、
投機的な色気で買ったどこかの株式、
等々、中小企業の決算書は、
中身がわかってキレイにする癖がなければ、
あっという間に「含み損」という、膿みがたまるのです。
しかも、自前のお金でなく、銀行から借金をしてまで、
書画骨董や有価証券、思い入れだけで買った設備、
などがあれば、事態はもっと深刻になってゆきます。
稼ぎを生まず、返済だけがのしかかるのです。
資金繰りは瞬く間に厳しくなってゆきます。
そうなる前に、含み損は吐き出してほしいのです。
そのためにも、
貸借対照表に、内容がわからないものがあるのなら、
まずは経理・財務担当に、聞いてほしいのです。
「この中身は何?」と。
それに、
経営者が決算書に無頓着だと、不正の温床になるのですから。
(古山喜章)
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