中小企業のデジタル化は遅れています 管理部門業務④
世間ではAI、IoTの記事があふれています。
が、中小企業ではまだまだ、
それ以前のデジタル技術の活用が、遅れているのです。
管理部門業務④ 雇用契約書のデジタル化
前回、労働条件通知書のデジタル化について述べました。
その際に少し触れた「雇用契約書」も、
デジタル化を進めてほしい文書のひとつです。
雇用の条件が記載され、会社側と働く人の、
双方が署名・捺印して保管する契約書です。
中小企業のほとんどが、今も紙で対応しています。
外食や小売、ホテルに介護施設など、
多施設で事業をされている労働集約型産業の場合、
雇用契約書の保管に、かなりの手間とコストがかかります。
前回の労働条件通知書とは異なり、保管義務があるからです。
しかも、経営に関わる紛争や裁判で最も多いのが、
雇用契約に関わるものです。
なのでなおさら、慎重に保管されているのです。
「退職した〇〇さんから、残業のことで申し入れの電話が
あったみたいだから、雇用契約書を用意しておいてほしい。」
などと言われ、保管場所から時間をかけて探し出す、
という経験を、労務担当者ならお持ちのはずです。
保管期限は契約終了日から3年が義務付けられています。
が、多くの中小企業では、毎年3年前の雇用契約書を
廃棄するでもなく、数年に一度、適当に廃棄が行われている
状況なのです。
一方、ここ数年、デジタル画面にサインをする、
という機会が増えてきました。
ホテルのチェックイン、レストランの会計時、
宅配便の受取時、携帯電話の買い替え契約時、など。
いずれも、電子サインと承認ボタンにより、
契約や受け払いが完了します。
携帯電話の契約時には、電子サイン後に、
プリントアウトしたものを渡されます。
それらの会社では、ペーパーレスがかなり進んでいます。
必要文書のそれぞれを紙で対応しているとすれば、
かなりの手間とコストがかかるはずなのです。
それだけ、中小企業は遅れているのです。
「雇用契約書」に関して言えば、
完全な電子化はまだムリにしても、
紙で交わした文書をスキャナーで読み取り、
電子保存することくらいは、中小企業でも容易にできるはずです。
それだけでも、保管場所が不要になり、
必要文書を探すにも、検索できて探しやすくなるのです。
手間もコストも減るのです。
おそらく10年後までには、雇用契約もタブレットなどの
電子画面で署名し、社員にはメールで送信する、
ということが標準になるはずです。
いかに早くそこへたどりつけるのか、で、
管理コストの構造が大きく異なってくるのです。
(古山喜章)
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