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2020年1月 9日 (木)

全損保険の出口対策、考えていますか?

昨年2月中旬、

全額損金計上できる生命保険がシャットアウトされました。

銀行や証券会社による、余りに露骨な販売が横行し、

国税から「けしからん!」となったわけです。

 

その直前の1月頃には、

間もなく販売できなくなる、という情報が出回り、

多くの中小企業が駆け込み的に全損保険の契約をバンバン結びました。

「今なら間に合いますよ!」と声をかけられたのです。

全額損金計上なので、基本、5年~7年後くらいには、

解約金がピークになる商品です。

つまり、その時点で解約すれば、

解約金がまるごと、利益計上されるのです。

 

全額損金がなくなるから、という理由のみで、

契約に走ったので、あとのことはあまり考えていない、

という方が多いです。

で、保険業界の方にお聞きすると、

今また、その出口対策としての保険がよく売れている、

というのです。

 

4割損金、6割資産計上、の商品です。

解約返戻率はピーク時で70%超~85%です。

ただし、契約後4年目まで、解約返戻率は13%~15%です。

この解約返戻率が低い4年目で、

会社は経営者に保険商品を売却し、名義変更します。

 

保険は経営者名義になって継続され、

翌年には解約返戻率が85%くらいに跳ね上がります。

会社は低い返戻率で売却したので、売却損が出ます。

経営者はその後、安く買った保険を解約し、

85%の解約返戻金を手に入れます。

 

会社にすれば、保険契約時に4割を損金計上し、

売却時に、売却損を損金計上する、ということになります。

契約時に一気に全額を損金計上できないものの、

4年後の売却時には、売却損を計上できるので、

結果的に、ほぼ全額を損金計上できる、ということになります。

そのような商品が今、売れているそうです。

 

ただし、返戻率が5年目で急騰するこの商品も、

以前から「この商品もなくなるのではないか」と

保険業界では言われております。

 

このような保険商品での対策でなく、

役員退職金や設備投資による減価償却、不良資産の除却などで、

出口対策を検討されているのなら、それで構いません。

それがないのなら、今使える保険商品による対策も、

一考の余地があるのです。

 

(古山喜章)

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