借りたものは返せ ➂
「銀行からこんな提案をもらいましたが、どうでしょうか?」
と、経営者から度々相談を受けます。
最近の傾向では、財務が堅調な会社には、
なるべく長く貸し付けて、金利を吸い取り続けよう、
という銀行の思惑が、ますます強くなってきています。
➂1行取引だと融資を押し付けてくる
貸借対照表を拝見すると、
現預金が多いものの、借入金も多い、
というケースをいまだに見かけるのです。
「こんなに現預金があるなら、もっと返せばいいじゃないですか。」
というパターンです。
先日もある会社の決算書が、そのようになっていました。
で、お聞きすると、創業以来40年以上、
ひとつの銀行、メガバンクからしか借りていないのです。
「どうしてですか?」と尋ねます。
「いやあ、先代からそうなっていて、
私もはっきりした理由まではわかりませんが、
どうもその銀行に助けてもらった、ということみたいなんです。」
「それって、いつ頃の話しですか?」
「私が会社に入る前のことのようなので、
まあ恐らく、25年以上前、ですかね。」
「今のその銀行で、そのこと知っている人、います?」
「誰も知らないでしょうねぇ。」
で、たまたま私の書籍をお読みになり、
「うちはおかしいんじゃないだろうか、と思い、
相談に来られたのです。」
もう典型的な、銀行にいいようにされるパターンです。
とにかく、ライバル銀行がいないのですから、
経営者に対して、融資をどんどん押し付けてくるのです。
経営者も、複数の銀行から借りたことがないので、
言われるがまま、借りていたのです。
しかも借入金が年々減ることなく、一定の額におさまっているのです。
その一方で、現預金がどんどん増えていたのです。
つまり、返済力はあるのに一部しか返さず、
さらに返した後もそのほぼ同額を、借りさせられていたのです。
銀行にすれば、その会社に預金を置いていたのも同じです。
しかもそれでいて、金利をもらっているのです。
いいとこ取りも、甚だしいのです。
結局、最近営業をかけてきている地銀に、
「チャンスをあげる」という体で提案を出させることになったのです。
おそらく今後、
その経営者は1行取引の呪縛から解放され、
「今までなんてバカなことをしていたのか!」
と実感されることと察するのです。
融資を受けるなら、通常の合い見積もりと同様、
複数行との取引に、してほしいのです。
(古山喜章)
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