会社を解散します⑨
前回のつづきです。
Aさんには誠意を尽くして対応をし、
丁寧な手紙も差し出した結果、
快く株式売却に賛成してくれました。
残すは、4名の少数株主です。
それぞれ1%ずつ、合計で4%保有しています。
困ったことに、この1%の株主、
いまどのようになっているのか?
誰も把握していません。
「社長、この株主名簿に載っている株主の方、
これは先代の頃の従業員の方ですよね。
この方って、いまご存命なんですか??」
「いやぁ・・・わかりませんが、
おそらく鬼籍に入っているでしょうね。
その場合、この株式は相続されているのでしょうか。」
「いや、そもそも株主ご本人に、
株主としての自覚はなかったのでしょう。
配当をしていたわけではないですし。
だから、当然、家族の方も、
お父さんが当社の株式を持っていた、
という認識もないでしょう。
だから、家族の方からすれば、
“当社の株主である”という認識すら、
持っていないでしょう。」
この会社とおなじような状況にある会社は、
世の中に結構あると思います。
「社長、これは法的な問題でもあります。
弁護士さん、どうやって言ってますか?」
「はい。弁護士は、とりあえず家族に連絡して、
権利関係を説明する必要があるだろう、と。
ただ、昔の株主の家族がいまどこにいるのか、皆目見当もつかないんです。
それに、もとはといえば、その株主も自分でお金を出してないはずなんですよ。」
「いかにも、弁護士さんらしい教科書的な回答ですね。
こちらは悠長な時間もかけてられません。
実務的な対応を考えましょう。」
(福岡雄吉郎)
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