営業利益を増やしなさい!①
年度末が近づいてきた、という会社が多いと思います。
「販管費に入っている費用でも、特別な経費といえるものは、
特別損失に計上して、営業利益を増やしなさい!」
と言い続けて言います。
銀行の格付け(スコアリング)では、営業利益を重視されるからです。
すると、「こういうのは特別損失にしていいのでしょうか?」
というご質問をたびたびいただくのです。
①稼働しなかった設備のリース料
あるメーカーで、決算期を終え、
さらに特別損失に計上できるものはないか、再度確認していました。
その会社は、銀行からの融資も受けているので、
少しでも営業利益を増やすべく、検討していたのです。
で、ある新規設備の不具合を思い出したのです。
大型の中古機械をリースで導入したものの、
機械の不具合でたびたび停止する事態となりました。
機械メーカーが対応しましたが、年度末近くまでの長期にわたり、
思ったように稼働しなかったのです。
「導入後、100%の正常稼働に対して、どれくらいの稼働率ですか?」
と社長に尋ねると、
「計算したら、60%の稼働率でした。」とのことでした。
停止時間は記録されていたので、簡単に稼働率が算出できたのです。
なので、
「じゃあリース料の40%は、特別リース料として、
特別損失に計上しましょう。」ということにしたのです。
「リース料を?いいんでしょうか?」
「不測の事態で正常稼働できなかった機械に対するリース料なので、
特別損失でいいですよ。」
「税務署は何も言わないでしょうか?」
「製造原価にあるリース料の一部が特別損失に計上されるだけで、
税引き前利益は何ら変わらないので、税務署は何も言いませんよ。
それに、新年度に入った今は、正常に稼働しているんだから、
それはやはり、昨年度の特別な経費ですよ。」
「なるほど、ではそのように処理いたします!
これは結構大きいです!!」
ということになったのです。
「特別損失」というものに、明確なルールはありません。
“この経費はこういう理由で、わが社にとって、
その事業年度の想定外の特別な経費です。
だから特別損失なんです。”と、言ってしまえばよいのです。
こんなことは、税理士事務所は全く考えてもくれないし、
むしろ反対します。
「そんな処理は聞いたことがない!」
「ありえない!」
「そんなことをしたら税務署から目を付けられる!」
など、これまでにさんざん聞かされました。
しかし、実際にやってみれば、何事もなく、
その決算書で通用するのです。
当然、税務調査で「この特別損失は認められない!」
などと言われたこともありません。
「特別損失」は、経営者の知恵で意図的に算出するものです。
決算処理が近づいている会社は、もう一度、
経費の中身をよくみて、何か特別損失にできないか、
考えてみてほしいのです。
(古山喜章)
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