営業利益を増やしなさい!➂
年度末が近づいてきた、という会社が多いと思います。
「販管費に入っている費用でも、特別な経費といえるものは、
特別損失に計上して、営業利益を増やしなさい!」
と言い続けて言います。
銀行の格付け(スコアリング)では、営業利益を重視されるからです。
すると、「こういうのは特別損失にしていいのでしょうか?」
というご質問をたびたびいただくのです。
➂入札負け案件の人件費
ある経営者から、
「うちも毎年計上している特別損失がありますよ。」
とお聞きしました。
建設関連の中小企業です。
で、何を特別損失にしているのか、お聞きしました。
「人件費の一部を特別損失にしています。」
「どんな人件費ですか?」
「うちの業界では仕事を獲得するための入札があります。
入札するには、積算資料を作る必要があります。
これが結構な工数で、かなりの時間がかかるんです。
でも、入札なので、獲得できなかったら、
積算資料の作成に費やした労務費は、パーになります。
なので、入札負けした案件の人件費を、特別損失に計上しています。」
「なるほど。
具体的にどういう勘定科目にしているんですか?」
「特別開発人件費、としています。」
とのことだったのです。
要は、売上に繋がった労務費は販売管理費に入れて、
売上に繋がらなかった労務費は、特別損失に計上する、
という考え方です。
かといって、
その労務費を適当な金額で振り返るわけにはいきません。
今回の経営者にお聞きしても、
「積算資料作りにかかった時間は、
いつ、誰と誰が何時間、など記録を残していて、
その時間数と、作成者の労務費単価を掛け合わせて、
特別損失に振り替える額を算出しています。」
とのことなのです。
しっかりと、証拠書類(エビデンス)を確保しているのです。
販売管理費から特別損失への振り替えなので、
税務調査でとやかく言われることはありません。
言うのは、銀行くらいです。
それでも、それだけの根拠をもっていることを説明すれば、
「銀行も最初は聞いてきましたけど、
今はもう何も言わないですよ。」
となるのです。
この会社は建設関連業ですから、同業ライバルは無数にいます。
しかし、営業利益を大きくするために、
ここまでしている経営者は、ごく一部なのです。
同じことをしているのだから、やろうと思えばできるのに、です。
結局、決算書づくりに知恵のかる経営者だけが、
対外的に強い決算書を作り上げるのです。
(古山喜章)
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