売掛金に鈍感になってはいけません
倒産する要因は売掛金管理が杜撰であった事が多いのです。
北海道札幌にマルイ今井という老舗のデパートがあります。
道内一番といわれた地方百貨店も本土からのデパートの進出もあり、業績が悪化していました。
そのことは、本州の私の耳に入っていたのですが、
地元の札幌の人には、どうも身びいきなのか、ピンと来ていなかったのです。
その証拠にJR札幌駅が大改装になり、大丸デパートが進出するという情報で
私は地元のスイーツ小売りの「きのとや」に、
大丸に進出しなさいとアドバイスをした時には 幹部全員が反対したのです。
「井上先生 札幌の中心は すすき野や中央公園通りが中心で、駅前は二流立地です」とおっしゃったのです。
確かにJR駅が改築なる時も 駅前の「そごう」「東急」も「西武」も業績は、いまいちパッとしませんでした。
私は 名古屋の変貌を見ていたので
栄の地から駅前がガラッと変わったように札幌もそうなると予想していたのです。
案の定、札幌駅前は、大丸デパート、JALホテルの進出で、
駅前立地は向上し、「マルイ今井」の業績は一気に落ちていきました。
私は不安を、マルイに出店している「きのとや」に申し上げるのでしたが、
決して退店の判断には進みませんでした。
ある日、名門マルイ今井が伊勢丹、三越ホールデイングスグループに入ったというニュースが入り、
これで今井も倒産することはないと 幹部も社長も皆が 安心したのです。
札幌では、中心地に同じ系列の三越百貨店と今井マルイが隣接して、商売を始めることになったのです。
そのマルイ今井は 1月31日に会社更生法を出して倒産したのです。
1年で一番売上の多い12月分の売掛金は、1月31日に受けるのです。
1月分の売掛金をその日に発生するのです。2か月分の売り上げが飛んでしまったのです。
「マサカ! 伊勢丹から送り込まれた新社長が こんな事をするのですか!
弱いものいじめにもほどがある!」と怒ってみても 事態は変わりません!
世の中 予想できない事態が発生するのです。
今のコロナ騒ぎも同じです。マサカという坂があり、まっしぐらに落ちてゆく業種があるのです。
ホテル、観光土産、外食レストラン、運輸列車、フェリー業などは大変なのです。
無借金の会社は、何も困っていません。ライバルの倒産をじっと見守るだけです。
資金繰りに困れば倒産するのです。連鎖倒産が近年、聞かれなくなりましたが、
私のように長く生きていれば必ず、倒産は発生するのです。
得意先が大丈夫などと思わないことです。売掛金先の会社をよく観察してみてください。
(井上和弘)
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