貸しはがし、始まる
ある地方の経営者から、問い合わせがありました。
「メイン銀行から、融資の一部を国の緊急融資活用に
切り替えてくれませんか?と連絡がありました。」
「どうしてですか?」
「緊急融資のお金を工面するから、そのお金で
短期借入を返してほしい。
でないと、次の短期切り替えは厳しい、と言われました。」
「ところで借入金、いくらあるんですか?」
聞いて驚きました。年商を超える借入金額なのです。
「社長、銀行はここに貸していたらアブナイ、もう限界だ、
と見切ったんですよ。
緊急融資を使って少しでもリスクを下げておけ!てことでしょ。
自前の融資はこれ以上、したくないんですよ。
緊急融資の名前を借りた“貸しはがし”じゃないですか。
で、緊急融資の金利はいくらなんですか?」
「3.5%です。」
「えっ!うちらの顧問先の軽く10倍じゃないですか!」
「そうなんでか!」
「御社の今の金利はいくらなんですか?」
「低いので1.75%、高いので2.5%です。」
年商を超える借入金があると当然、交渉などムリなのです。
おそらく銀行に言われるがまま、金利を支払っているのです。
「そもそも、御社の商売で、ウイルスによる被害あるんですか?」
「関係ないんですが、業績は良くないです。」
「だから銀行からしたら好都合なんですよ。
だって、今回の緊急融資はウイルス対策なのに、
便乗して融資リスク回避策に利用されてるんですよ。」
「どうすればよいでしょうか?」
ということだったので、
「まず、そんなことをしてもいいのか、財務局に聞いてみます、
と言いなさい。」
とアドバイスをしました。
銀行は金融庁に頭が上がらず、財務局は金融庁の執行部隊です。
銀行は財務局を恐れるのです。
それにしても、緊急融資で3.5%というのはおそらく、
その銀行が間に入って、利ザヤを抜いているのだと思うのです。
いかがでしょうか。同じマサカの坂でも、
財務状況の良し悪しで、銀行の対応が極端に変化するのです。
悪い会社には、体のいい貸しはがしが始まるのです。
逆に無借金の会社には、
「資金のご入用があれば、
うちがいくらでもお貸ししますから!」
と、ここぞとばかりに言い寄ってくるに違いないのです。
時は3月、銀行の決算期です。
銀行が最も融資を伸ばしたい時期です。
この時期に貸しはがしを促されるようであれば、
ウチの会社は銀行から見放されているな、
と受け止めざるを得ないのです。
(古山喜章)
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