無借金でよかった
新型コロナウイルスの騒動のなか、
数名の経営者からお聞きしたのが、
「無借金でよかった。」
という声です。
「おかげさまで無借金にできていたので、
先が見えないこの騒ぎのなかでも、少しは心に余裕をもって
取り組めているような気がします。」
とのことなのです。
これは、地方でホテル経営をされている方のお声です。
業界にもよりますが、最も大きな打撃を受けている業界です。
一方、借入金がある中小のホテル経営者は
「元金返済がいつまでできるだろうか。」
と不安になり、資金繰りばかりに、
頭も気持ちも向いてしまっていることだと察します。
だから、不要な借入金をしてはいけない、
と言い続けているのです。
「売上が10ケ月滞っても大丈夫なくらい、銀行から借りておきなさい!」
「何かの時のために、普段から借りれるだけ借りておきなさい!」
などという無責任な本に従って、その通りにしていた経営者は、
今ごろどう感じているでしょうか?
「そのとおりにしておいてよかった。」
「これで10ケ月は安心だ。」
などと思っているでしょうか?
絶対にそんなことはないはずです。
こんな時でも、元金返済はあるのです。
苦境になれば、それを止めなければなりません。
しかし、そんなことをしたら、銀行に負い目ができるだけです。
次に借りるときには、
「あのとき元金返済を止めてもらったから助かった。」
となり、強い銀行交渉などできるはずもなくなるのです。
そもそも、月商10ケ月分もの現預金を抱えてしまうと、
中小企業の経営者は、なかなかじっとしていられません。
何か別のことに使ったりして、
肝心な時にさほど残っていない、というのがオチなのです。
借金なのにそれを忘れて、使ってしまうのです。
人間弱いもので、そうなってしまうのです。
本当に先が見えないとき、ほしいのは、
少しばかりの心や気持ちの余裕です。
それだけで、
前を向いて進むべく、考え、手を打てるのです。
そしてどこよりも早く、光を見い出せるのです。
「無借金でよかった。」
「余計な借入金がなくてよかった。」
そう感じておられる経営者が、たくさんおられると思うのです。
(古山喜章)
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