緊急融資、そう簡単には借りれません
かつてない規模での企業への緊急融資、ということで、
“無利息!上限3億まで!”と発表されました。
これを受けて、
新型コロナウイルスによる大打撃を受けている経営者が多数、
政府系金融機関の窓口に殺到しました。
「そんな条件で借りれるなら、借りれるだけ借りて、
既存の借入れを返してしまおう!
そうすれば金利もなくなるし!」
と考える経営者もおられることと察します。
しかしこの思惑も、なかなかうまく進みません。
危機においても、政府系銀行といえ、
なかなか簡単には貸してくれません。
例えば現実に、
今回の緊急融資申込の場で、こんなやりとりがありました。
「御社はメガバンクさんや地銀さんから、
今すでに借りておられますね。」
「はい借りています。」
「その場合は先に、そちらの民間銀行へおたずねください。」
「どうしてですか?
うちも2月後半から売上が一気におちて、
前年対比で50%を割っているんですよ。」
「いや、民間銀行を差し置いて、
我々が無利息でお貸しすれば、民業圧迫になりますからね。
それに、どこにでも上限3億円をお貸しできるわけではありません。
御社なら、民間銀行からの既存の借入れも勘案して、
3000万から4000万くらいの緊急融資ですね」
国が言ってることとは真逆で、
「できることなら貸したくない、としか思えません!
隣のブースで融資申し込みをしている方は、
大声出して、発狂したみたいになってました。」
とは、実際に申込みにいかれた経営者の弁です。
さらに、
「申し込みするにも、過去3ケ月の業績実績と、
これから先3ケ月の月別業績予測を書かないとダメだし、
個人資産の内訳も書く必要はあるし、
他にもあれやこれや提出資料だらけですよ。
だいたい今、3ケ月先なんて読めないから、頼りにいってるんですよ。」
と嘆いておられました。
確かにこの数年は、商工中金の不正融資事件を受けて、
政府系金融機関は、「民業圧迫」という言葉に
過剰反応するようになってしまいました。
「できるだけ多く借りて金利の高い借入れを返済しよう。」
などということをされれば、それこそ民業圧迫なのです。
そのため、少しでもそのような匂いがしたら、
民間銀行へ行けなどと、追い払うのです。
要は、政府が言っているほど、
緊急融資は簡単には借りれないのです。
銀行はどこであっても、預かったお金を貸してナンボの商売です。
融資額が大きいほど慎重になるのは、当たり前なのです。
(古山喜章)
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