手元資金を確保しなさい➂
どこまでこの状況が続くのかわからない今、
経営者はとにかく今、手元資金を確保することに
対策を講じる毎日なのです。
➂回収期間を縮めなさい
貸借対照表の面積グラフを作成すると、
売掛金の面積がやたらと大きく目立つ、という場合があります。
「これ、パッとみただけで売掛金が目立ちますよね。
月商の3倍くらいありませんか?」と経営者に尋ねます。
「そうなんですよ。常に月商のおよそ2.8ケ月分くらい、
売掛金で月末に残っています。
でも、うちの業界はそういう習慣ですし、
焦げ付くこともほとんどないから、いまのところは問題ないです。」
概ね、このような答えが返ってきます。
「問題ないとはいうものの、その分、短期借入金があるし、
その金利も発生して、余計な出金をしているじゃないですか?
総資産は膨らむし、大いに問題ありますよ。」
「いやしかし、うちの業界はなかなか、そう簡単にはいかないですよ。」
といったやりとりになってゆきます。
売上の回収期間が長い会社は今、資金繰りが大変です。
売った代金を、手元で使える資金となるまでに、時間がかかるのです。
それまでは、運転資金を確保しておかなければなりません。
現状のような、売上が停滞する危機において、
手元に使える現金が多くあるほど、ほんの少しでも余裕が生まれます。
だから常日頃から、
「回収期間を縮めなさい!」と申し上げているのです。
“いまのところは問題ないから大丈夫”と言っていても、
今のような問題に陥ったときに、
「早く払ってもらうよう、先方に交渉しなさい!」
と言うと、
「そんなことをしたら、資金繰りが危ないと思われるし、
そうなると今後の取引に影響が出るかもしれないので、
今のような状況で、そんな交渉はできないです。」
となるのです。
「実際に資金繰りが危ないじゃないですか!
この期に及んで変なプライドを守っている場合じゃないですよ。
特に大手の相手先なら、うちの金額くらい、まだどうってことないですよ!
おたくのおかげで資金繰りに困ってる、くらい言えばいいじゃないですか!」
となってゆきます。
よくあるのは、
大手企業の取引先への売掛金回収期間ほど長い、
というパターンです。
取り引き開始時に、
“大手のあそこと取引できるだけでありがたい”と思ってしまい、
支払条件は先方任せになってしまっているのです。
ようは、言いなりなのです。
だから、今のところは問題なかろうと、
平常時に交渉し、回収期間を縮めておいてほしいのです。
加えて、現状でも回収期間の長い、大手企業の相手先があるのなら、
恥も外聞もなりふりかまわず、早期回収の交渉を行ってほしいのです。
今だから先方も受け入れてくれる、ということもあるのです。
(古山喜章)
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