1ケ月前から 二代目の息子をつれて先生の事務所に3時にお邪魔し、相談事のあと、夕刻は大阪の北新地でおしいい「ふぐ」を食べましょうと・・・いう約束がありました。
相談事は「うちの税理先生のいう提案は どうもおかしいと二代目の常務が言うので、先生のご意見をお聞きしたい」というのです。
創業者社長は、70歳を超えていますが、ますます元気らしく、ゴルフのスコアはシングルの維持に努めていると言うことです。
「常務 税理士の言うことがもう一つ 腑に落ちないのですか?」と問うと
「実は わが社の株式の相続対策の提案の問題ですよ!」
そういえば この海野電機製作所(仮称)は、実に私の本を毎回 購入され、それを実践なさり、自己資本も70%の良き財務を形成されています。当然、株価もどんどん高くなっています。
「前年に銀行からの提案で持ち株会社を作り、そこに現社長所有株を売却する、持ち株会社の株購入資金は、銀行からお貸しします。 」という提案がありました。
父が 『借金するのですか? その借入金の元金返済は どうするのですか?
金利率は 毎年 返済金額は ・・・』 と聞いて、 父は銀行の都合ばかりで、怒って止めました」
「そうでしたね! 配当金は 御社はゼロにされていますし、金利支払いのみの借入金には金融庁が好んでいませんね」
「そこへきて 本年は 我が社の税理士が相続税が免除になる改正法律ができたので、ぜひともこれをと言って 薦めてきたのですよ!」 と若い二代目は 自分が思う疑問を投げかけてきたのです。
それを見ると どこでも税理士が共通して持っている 『納税猶予制度』のパンフレットである。
「おたくの税理士さんも これをもってきましたか?」
「先生のご意見は? 薦めるべきか止めるべきか? 井上先生だったらズバッとお答えが聞けると思ってまいりました」と親爺の創業者は言う。
「ズバッとですか?」
「はい お願いします」
「絶対にやってはいけません!」
「やはり?」
「このパンフレットをみてもおかしいですね。納税猶予制度であって、数年後にゼロにはなりません。まるで相続税がゼロになると書いてありますが、これは文字通り猶予であって免除ではないのです」
「いろいろと次の子に渡す時に そこで計算がなされるのです。条件もついてきますし、その猶予期間には自社株なりを国に担保として差し出さなければならないのですよ!
前にもこの制度はありましたが あまりにも使い勝手が悪いので、不人気で、誰も使わなかったのです。
修正して、いかにも改良したように言っていますが、収入の減った税理士さんは、コンサルタント料が稼げるとばかりに飛びついてクライアントの顧客に勧めているようですね。」
国際社会に入った今、日本の法人税制では企業から高い税金が取れないので、消費税等個人対象の増税を図らないと国家予算が取れない時代です。
大増税に備えることは必要でしょうね。
その夜は、この大増税に対して、いかに対処すべきかを楽しい思いで、税務に明るい息子後継者とおしいい河豚とひれ酒をしこたま堪能したのでした。
この猶予制度 どこに問題があるのでしょうか・・・?
(井上和弘)
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