今年ならムリでした②
コロナ禍に陥った今、
「去年のうちにやっておいてよかったです。
今年ならムリでした。」
というお声を、よくお聞きするのです。
②オフバランスによる不良資産の圧縮
昨年、ある会社で土地のオフバランスを実行しました。
買ったときの簿価よりも、
値段が下がっている土地を、子会社へ売却して、
含み損を吐き出したのです。
土地は減価償却ができません。なので、
買った時の簿価のまま、貸借対照表に残り続けるのです。
しかし長期にわたるデフレのもと、
よほどの一等地でない限り、土地の価格は下がっています。
その下がった含み損を吐き出したのです。
当然、
グループ法人税制に該当せず、特別損失を計上できるよう、
子会社には非同族の株主を存在します。
「今年だったら、ためらってオフバランスをできなかった
と思います。」
と語るのは、その会社の社長です。
オフバランスで吐き出した含み損は、約3億円です。
その年度の経常利益は3億強です。
経常利益のほぼ9割近くを、
オフバランスの特別損失で非課税にできたのです。
税金での現金流出を約1億円、減らせたのです。
その売却した土地は1か所ではなく、
約10か所にわたっていました。
不動産鑑定士による評価にも時間を要しました。
幸い、いずれの土地も銀行担保等が付与されておらず、
その点ではスムーズに進みました。
これが銀行担保付きの土地であれば、
さらに銀行交渉での時間を要することになるのです。
3月末決算なので、12月に売買を株主総会で決議し、
1月に子会社が銀行から資金調達して、
お金のやりとりも済ませる予定でした。
そこで、銀行の動きが鈍り始めたのです。
今年1月下旬のことです。
「急なコロナ対応で追われていて、業務が遅れております。」
との連絡が銀行から入ってきたのです。
とはいえ、
数か月前から資金調達の準備を進めて了解を得ていたので、
そこは押し切って、売却代金のやりとりも無事に完了したのです。
「コロナ禍でうちの業績も先が見えない状況です。
おそらく今年だったら、思い切ったオフバランスを
決断できなかったと思います。
それに、早めに準備を進めたことで、
銀行からの資金調達も無事に済ますことができました。
去年のうちにやっておいて、本当によかったです。」
と、その社長はしみじみ語っておられたのです。
いかがでしょうか。
オフバランスは利益確保できているときに、
ためらわずに実行する、
ということも、会社にお金を残す大きな要点なのです。
(古山喜章)
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