今年ならムリでした①
コロナ禍に陥った今、
「去年のうちにやっておいてよかったです。
今年ならムリでした。」
というお声を、よくお聞きするのです。
①株式の買い集め
ちょうど一年前頃、
ある会社で株式の事業承継対策を行いました。
その一環として、複数の株主に分散している株式を、
買い集めたのです。
同族の個人、非同族の個人、法人など、
買い戻すべく株主は10件にわたっていました。
「いやぁ、今のコロナ禍だったら、
絶対にうまく進んでいないですね。
まず、会ってくれないでしょう。
去年のうちにやっておいてよかったと、
つくづく思います。」
と、その会社の後継者は語りました。
いずれも少数株主だったのですが、
買い集めるとなると、それなりに時間がかかります。
昨年の5月から始めて、今年の1月までかかりました。
10件、ということを考えれば、速く済んだほうです。
買い取るときには、誰が交渉にあたるかが大切です。
「Aさんは会長(後継者の父)のことなら言うことを聞くだろう。」
「Bさんは、会長としがらみがあるから、後継社長が会うほうがいい。」
「この法人株主には、説明が必要と思うので、
買取り理由を文書にして、3名体制で臨みましょう。」
など、相手に応じて、打つ手を変えながら、
着実に買取りを進めてゆきました。
それでも、1回の交渉でうまくゆくケースもあれば、
3~4回の交渉を要したケースもありました。
少数株主の株式を全て買い取ったあとに顧問税理士が、
「絶対にムリだと思っていました。」
と後継社長に言ったそうです。
買取り理由のひとつとして、
「今は配当を出せているけれど、いつ景気が悪化して
配当できなくなるかわからないですよ。
今ならこの値段で買わせていただきます。」
と、相手方に伝えていました。
その後コロナショックに陥ったので、各相手方も、
「あのときに売っておいてよかった!」
と実感されているはずです。
ただ実際には、
その会社はコロナショックの被害を全く受けておらず、
業績に何ら影響は出ておりません。
で、買い集めを済ませたおかげで、
その後の対策をスムーズに進めることができたのです。
いずれにせよ、先延ばしにせず、
行動を起こして進めていてよかった、
ということなのです。
今回のようなマサカの坂が訪れれば、
行動することさえできなくなるのですから。
(古山喜章)
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