認知症の大株主⑥
認知症の初期症状が現れた
淀屋橋工業の創業者であるおじに対して、
北浜兄弟はどのような作戦をとったか?
おじさんは会社のことになると、
急に意識がハッキリしだして、「会社はどうだ?」が口癖でした。
ただし、当然ながらご高齢のため、
以前のような会話はしづらくなっているのも事実です。
いつ天国からお迎えが来るかもわからないため、
一刻も早く、幹部に対して、おじの株式を
譲渡させたかったのです。
そこで、遺言書で、株式を贈与されることになっている、
弟の次郎氏から、タイミングを見計らって、
幹部へ株式を贈与してもらうことの承諾を得ることにしました。
このタイミングの見極めが一番のポイントでした。
そして、そのタイミングがやってきました。
どんなタイミングだったか、ご想像にお任せします。
次郎氏には、録音しておいてください、と伝えます。
次郎氏から、おじさんへ、
「株式のことは私に任せる、と遺言書で書いていただきました。
なので、株式の処分については、私に任せてください。」と伝えます。
録音テープを聞くと、かなり弱々しい声で、
「そうだね、わかった。」とのおじさんの返事。
その場で、押印済みの株式譲渡契約書まで、入手したのです。
次郎氏は、予め、契約書とハンコを用意していました。
実は、次郎氏は、おじさんから実印までも預かっていたのです。
その1年後、おじさんである創業者は、
静かに息を引き取ったのです。
(福岡雄吉郎)
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認知症と診断された人が押した印鑑、署名は有効なのですか?贈与も出来ないと思っていました。
投稿: Y.S | 2020年8月11日 (火) 15時53分
コメントありがとうございます。
この方は、相当軽微な状況で、
財産管理に関する意思決定能力は十分にあると、判断される方でした。
投稿: 福岡雄吉郎 | 2020年8月14日 (金) 08時51分