マサカの坂に備える経営対策 財務編⑦
コロナ禍のみならず、
経営にはマサカの坂がつきものです。
〇〇ショック、〇〇大震災、〇〇豪雨など。
マサカの坂は常に発生しており、いつかは直面するのです。
だからこそ、直撃を受けても倒れないよう、
経営のさまざまな側面から、備えをしておいてほしいのです。
財務編⑦ 在庫を減らしておく
前回の売掛金と同様に、
多いほど運転資金を必要とするもうひとつの要素が、
「在庫」、いわゆる「棚卸資産」です。
メーカーだと、原材料、仕掛品、製品など、
複数の勘定科目で貸借対照表に記載されます。
それらは全部「在庫」=「棚卸資産」なのです。
当然、多ければおおいほど、
原材料の業者に支払う金額は大きくなります。
また、仕掛品や在庫が多いと、
売ってお金が入ってくるまでの期間が長くなります。
そのタイムラグを補うために、
在庫が増えた分だけ、運転資金が必要になります。
で、短期借入金が増え、金利も支払う、ということになるのです。
在庫が多いと、ロスも増えます。
使わなかった材料の廃棄ロス、
使ったけれど歩留まりで発生するロス、
仕掛品・製品の不良ロス、
仕掛品・製品の廃棄ロス、などです。
また、保管場所の賃貸料、運搬費用、
管理にかかる労務コストなどもあります。
在庫はとにかくコストの固まりです。金食い虫なのです。
在庫を減らして在庫の回転をよくすれば、
ムダなコストが減り、お金の回りもよくなります。
マサカの坂に陥ったとき、
たくさんの在庫を抱えている会社は大変です。
一気に売れなくなるのですから。
しかし、その分の仕入れ支払いや、運転資金の借入金返済は、
待ったなしでやってくるのです。
つまり、
少ない在庫で運営できるようにしておくことは、
マサカの坂への危機管理対応なのです。
コロナ禍においても、春物在庫を大量に抱えていた
アパレル会社がバタバタと倒産に追いやられました。
消費が蒸発し、資金繰りのメドが立たなくなったのです。
運転資金を融資していた銀行も、
消費回復の見込みが見えない故に、
短期の追加融資をしなかったのです。
晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる、
ということの典型事例です。
在庫が必要な業種の会社は、
生き残りの生命線として、在庫圧縮に取り組み続けてほしいのです。
(古山喜章)
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