マサカの坂に備える経営対策 財務編⑫
コロナ禍のみならず、
経営にはマサカの坂がつきものです。
〇〇ショック、〇〇大震災、〇〇豪雨など。
マサカの坂は常に発生しており、いつかは直面するのです。
だからこそ、直撃を受けても倒れないよう、
経営のさまざまな側面から、備えをしておいてほしいのです。
財務編⑫ 電話加入権は譲渡して売却損を計上しておく
貸借対照表を拝見すると、いまだに1/3以上の確立で、
固定資産に「電話加入権」の科目をお見受けします。
だから、
「電話加入権を除却しなさい!」と言い続けるのです。
手続きは簡単です。
116に電話をして、出てきたNTT担当者に、
「電話加入権を譲渡したいのですが、どうすればよいでしょうか?」
と言えばよいのです。
で、『電話加入権譲渡承認請求書』をいただきます。
ネットでダウンロードもできます。
その書類をNTTに提出します。
それでも電話はそれまで通りに使えますし、
請求・支払い方法も変わりません。
電話代の支払いが停滞したときに、加入権保持者へ連絡がゆくだけです。
『電話加入権譲渡承認請求書』をNTTへ提出後、
電話加入権の譲渡先との、簡易な譲渡契約書を交わせばよいのです。
これらの文書類が、税務調査時の証拠書類となります。
がしかし、
税務調査で電話加入権売却のことについて調べられた、
という声は、いまだに聞いたことがありません。
要するに、特に問題視されていないと思われるのです。
「電話加入権を売ってはいけない!」
と言っていた税理士も、
「NTTに譲渡承認を得ましたよ」
と伝えると、「ならいい。」とあっさり言います。
「だったら最初から反対するだけでなく、
できる方法を教えてくれ!」
と言うのが、経営者のいつもの言葉です。
売り先は、社長個人でもよいし、子会社でも構いません。
加入権1本につき、1000円で十分です。
それでも、1本につき、6万円前後の売却損が出ます。
その売却損は特別損失になり、税引き前利益が縮みます。
損失の40%分程度、税金での現金流出が減るのです。
時には、
「NTTに尋ねたら、すでに存在していないことがわかりました!」
ということもあります。
光電話契約に切り替えた時点で、電話加入権が消滅していたのです。
「こんな場合どうすればいいでしょうか?」となりました。
そんな場合は、書類の提出も、譲渡契約書も、何も必要ありません。
「固定資産除却損」として仕訳伝票1枚処理すれば、
それで完了です。
電話加入権は、NTTが買い取ってくれることもなく、
価値のない資産です。
国税庁のホームページでも、その価値は、
1000円~2000円で、都道府県別に設定されています。
M&Aの査定では、評価0円です。
そんなものを資産として抱えるよりも、
さっさと売却・除却し、節税に役立ててほしいのです。
それが電話加入権にできる、最後の奉公なのです。
(古山喜章)
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