マサカの坂に備える経営対策 財務編⑧
コロナ禍のみならず、
経営にはマサカの坂がつきものです。
〇〇ショック、〇〇大震災、〇〇豪雨など。
マサカの坂は常に発生しており、いつかは直面するのです。
だからこそ、直撃を受けても倒れないよう、
経営のさまざまな側面から、備えをしておいてほしいのです。
財務編⑧ 手形決済期限が120日以内から60日以内になります
前々回、回収期間を縮めなさい!と書かせていただきました。
9月12日付けの日本経済新聞1面で、
「手形決済60日以内 中小資金繰り改善へ短縮」
との記事が掲載されました。こちら。
最長120日までの決済期限であったものを、
60日以内にすることで、
下請法における実務通達を見直す、とのことです。
いつから、とはまだ記載がありませんが、
この方向性は変わることなく、改正が行われてゆきます。
但し、短縮への猶予期間は3年あるようです。
下請法の法律そのものに、
「決済期日期限は120日」等と記載されているのではなく、
公正取引委員会からの通達によって、
「決裁期限は120日」と管理監督されています。
なので、その通達を守らない場合、
法律違反ではないものの、
公正取引委員会による行政指導を受ける、
ということになり、社名公表になります。
結局、法律に違反ではないが、
コンプライアンスへの対応が不十分、
という扱いになるのです。
今回の改正は、昨年、経済産業省によって行われた
決裁期限に関するアンケートの結果が影響しています。
数年前より、下請け企業に対する支払いを早くせよ、
となっているものの、手形決済の平均は今も110日なのです。
昨年のアンケート結果でも、
「短縮せず、今後も現状のまま」という回答が多数を占めました。
「ならば、通達を改正するしかない。」
と、経済産業省と公正取引委員会の間で協議され、
今回の決済期限短縮(60日以内)となったのです。
中小企業で支払手形がなくならない要因のひとつが、
「元受けからもらう手形の期限が長いので、
支払いも手形で長くなってしまいます。」
ということがあります。
手形は二度の不渡りで銀行取引停止となります。
事実上の倒産のリスクを、負っているのです。
手形決裁の期限が長い取引先には、
今回の改正の記事を提示して、
「今のうちに対応しないと、
コンプライアンス上、問題になりますよ。
猶予期限の間際になって実行するのは、大変ですよ。」
と情報提供する体で、決裁期限の短縮、または、
手形ではなく、現金取引の形に切り替えることを、
促してほしいのです。
(古山喜章)
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