マサカの坂に備える経営対策 財務編⑤
コロナ禍のみならず、
経営にはマサカの坂がつきものです。
〇〇ショック、〇〇大震災、〇〇豪雨など。
マサカの坂は常に発生しており、いつかは直面するのです。
だからこそ、直撃を受けても倒れないよう、
経営のさまざまな側面から、備えをしておいてほしいのです。
財務編⑤ 借りてまで過剰な現預金を持たない
「うちは現預金に余裕があります。」
と言いながら、貸借対照表を拝見すると、
その分、短期借入金がしっかり計上されている、
ということがあります。
要は、現預金があるというものの、ほとんど借金なのです。
「どうして借りてまで現預金を持つんですか?」
と尋ねると、
「なにかあったときのために…。」
「銀行から、万一に備えてもっておいても邪魔にならない、
と言われて…。」
「借りれるときにできるだけ借りたほうが良い、という本を読んで…」
など、理由はさまざまです。
しかし、借りてまで過剰な現預金を抱えても、
・毎月の返済は発生する。
・毎月の金利支払いも発生する。
・総資産が膨らみ、自己資本比率、総資産経常利益率など、
銀行交渉に重要な経営指標を悪化させる。
など、かえって体力を弱めるばかりなのです。
銀行から借りて備えるのではなく、
いつでも借りれる状態に備えて、
平常時は借りないことです。
その方が、金利での現金流出もなく、
手残りが多いのです。
マサカの坂のときに銀行が本当に貸したいのは、
そのような会社です
日頃から借りまくって現預金を蓄えている会社に、
それ以上貸したいなどとは、銀行は思わないのです。
貸すならそれなりの条件を加えて、ということになります。
金利は上がり、保証協会への保証料も要求するでしょう。
それをまた経営者は勘違いして、
「これだけ借りていてもまだ貸してくれる。」
「うちはやはり銀行から信頼されている。」
などと考えてしまうのです。
いつでも貸しはがしやすくされていて、
高い利息を払わされていることに、気づかないのです。
現預金は基本、月商の1/2程度にせよ、と言い続けています。
ギリギリの現預金で回す資金繰りができていれば、
その経理財務担当は、かなり優秀です。
借りてまで現預金を膨らますより、はるかに難しく、
マサカの坂に備える筋トレが、日ごろからできているのです。
現預金は月商の何倍分あるのか?
その現預金のうち、借入金はどれくらいあるのか?
確認してほしいのです。
(古山喜章)
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