マサカの坂に備える経営対策 財務編⑨
コロナ禍のみならず、
経営にはマサカの坂がつきものです。
〇〇ショック、〇〇大震災、〇〇豪雨など。
マサカの坂は常に発生しており、いつかは直面するのです。
だからこそ、直撃を受けても倒れないよう、
経営のさまざまな側面から、備えをしておいてほしいのです。
財務編⑨ 新たな生命保険で、既存の解約利益を相殺する
「おかげさまで、前に教えてもらった生命保険で
直近の利益を相殺できました。」
との声をお聞きしました。
その会社は、コロナ禍で業績が向上し、
例年に比べて大きな経常利益が出たのです。
一方、5年前に加入した、半分損金の生命保険は、
低い返戻率(8%)にて社長が買い取り、
解約できるタイミングに来ていたのです。
なので、社長への売却により、
(半分資産×5年分)から売却代金を差し引いた分、
一気に売却損を計上できたのです。
解約返戻率が低いタイミングなので、
資産計上していた保険積立金を、
ほぼ全額特別損失に計上した格好です。
その特別損失で、先の経常利益を相殺することができ、
税引前利益はほぼゼロに近い数字にできたのです。
で、会社から保険を安く買い取った社長は、
「次の1回だけ個人で保険料を払ったら、
解約返戻率が大きく跳ね上がるので、
そこで払い止めにして、いつでも解約できる
埋蔵金として、個人で抱えておきます。」
とのことなのです。
このような例を踏まえて、
新たな生命保険で先の利益を相殺する、
マサカの坂に備える埋蔵金を手元に確保する、
ということを考えてほしいのです。
例えば昨年2月、全額損金の生命保険がなくなりました。
その直前に、先のことは考えず、
「とにかく今のうちに!」
と、全額損金の保険に加入した、という会社も多いはずです。
それらの保険商品の解約ピーク時期は、
今から5年後~7年後あたりにくるはずです。
つまり、そのタイミングで解約しないと損だけど、
解約すると大きな利益が出る、
「さあどうするか」という状況になるのです。
ならば今から、
5年後に低い返戻率で売却できる、
現存する4割損金の生命保険に加入しておくのです。
で、5年後の売却時に、
先に契約した全額損金保険を併せて解約し、
その利益計上を相殺できるよう、仕組めばよいのです。
そうすれば、全損保険の解約金は課税なく会社に残ります。
同時に、
新たに加入した保険の積立金は、経営者が買い取ることで、
経営者の手元にわたります。
経営者個人でコントロールできるようになるのです。
会社と個人で、手元資金を増やせるのです。
大きな利益計上を数年後に予測できる時、
その利益を消して節税し、お金がより多く残るよう工夫するには、
生命保険はまだまだ、活用できるアイテムなのです。
(古山喜章)
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