金利14.5%の衝撃
先日、レオパレスが海外のファンドから資金調達をする、
という記事が日経新聞に掲載されていました。
(2020年10月9日・朝刊)
レオパレス本体ではなく、子会社が借りる形ですが、
新株予約権付き、で300億円の融資です。
で、その年間金利が14.5%、なのです。
金利だけでも、年間約43億円です。
考えられない高金利で、衝撃的でした。
同時にその海外ファンドは、
レオパレス本体に、約120億円の出資をしました。
言ってみれば、
子会社への貸付300億円の高金利14.5%で、
本体への出資120億円を、3年で回収してしまおう、
という狙いが見えてくるのです。
翻って、われわれ中小企業では、
少人数私募債の金利を3%~5%にしようとしただけで、
その会社の顧問税理士先生から、
「普通の銀行金利から比べたら高すぎる!」
などとクレームを言われるのです。
しかし、税理士先生が言う通常の金利とは、
銀行が、顧客から預金として預かったお金を貸す融資です。
いわば、人様のお金を集めて、貸しているのです。
一方、少人数私募債は、手持ちのお金を貸すのです。
ここが、通常の融資とは、決定的に異なるところです。
通常の銀行融資は間接融資であり、
手持ちのお金を会社に入れるのは、直接金融なのです。
しかも、少人数私募債は、弁済順位の低い劣後債です。
弁済順位が低いとは、その会社が経営破綻した際に、
その借入を返すのは、最後の最後でいい、ということです。
要はほぼ、出資金と同じなのです。
銀行は出資性借入金として、少人数私募債を自己資本とみなします。
「金融の種類が異なるから、
少人数私募債の金利は3%~5%で構わないんですよ。」
と税理士先生に伝えていたのです。
それだけに、
レオパレスの金利14.5%は衝撃的な数値だったのです。
ただ、コロナ禍においては、中小企業でも、
「劣後債の形で融資しますがいかがでしょうか?」
という話しが銀行から来る中には、金利10%、
という事例もありました。
出資金と同じなので、要は、
10%の配当を毎年受け取ろう、という考えなのです。
なので、少人数私募債の金利は、
3%~5%程度でなく、10%にしても問題ないのです。
あとは、その金利を払い続けれるかどうか、だけです。
「いま、
金利3%だけど、それならいっそのこと金利10%にしたい!」
という方は、新たに金利10%の少人数私募債を発行し、
3%金利だった際の貸付金を充当すればよいのです。
で、3%金利の少人数私募債は、終了させるのです。
「今どき3%の金利なんて高すぎる!」
という税理士には、レオパレスの高金利の話しを
してみてほしいのです。
(古山喜章)
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