マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ
「借入金が返せなくなったら、どうなるのか?」④
三船物産の借入金のうち、
メガバンクと地方銀行、いわゆる市中銀行の借不良債権は、
サービサーへ全て売却されました。
残るは政府系からの借入金11億円です。
「それはどうなったんですか?」
「あれはねぇ、チャラですわ。」
「チャラ?まったく返済せずですか?」
「そうなんですよ。
いやぁ、先生方の本にもありますけど、
政府系はほんとにありがたいですね。」
と、三船社長はしみじみ語り始めたのです。
「ということは、
サービサーには流れなかった、ということですか?」
「そうなんですよ。
政府系の銀行は、融資したお金がこげついて不良債権化しても、
サービサーに売却することは、ないんですよ。
これはものすごく助かりました。」
確かに、
サービサーへ売却されて返済を厳しく迫られるようなことがない、
というだけでも、
精神的な負担は大きく異なったことと思われるのです。
とはいうものの、
どのような流れで11億円を返済しなくてもよい、
ということになっていったのかが、
私は気になってしかたがなかったのでっす。
「しかし、その時の融資残高が約11億円ですよね。
チャラといっても、実際、どうなったんですか?」
「それはですねぇ、
政府系銀行の担当者が裁判所の許可を得て、
会社も保証人も返済できない、ということで、
全部処理してくれましたね。」
「社長自身はなにもせずですか?」
「手続きはこっちで全部やりますよ、と言ってくれて、
結局、私はたくさんの書類にハンコ押しただけですね。」
「自己破産の処理ではないんですか?」
「違います。自己破産はしていないんです。
会社は今も存在はしているし、私も普通に勤めて、
賃貸で生活してます。
会社宛の郵便物はいま、私の家に届くようになってます。」
と、このような経緯で、
政府系銀行からの融資約11億円は、
返済しなくてもよくなった、ということなのです。
三船社長にとって、事業をやめたあと、
この負担がなくなったことは、
「大きい肩の荷が軽くなって、かなりラクになりました。
政府系はありがたいですねぇ・・・。」
とのことだったのです。
次回はまとめに入りたいと思います。
(続く…)
(古山喜章)
« マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ | トップページ | マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ »
「銀行交渉」カテゴリの記事
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい④(2023.07.14)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい➂(2023.07.13)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい②(2023.07.11)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい①(2023.07.10)
- 特別損失を活用しなさい(2023.05.02)
« マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ | トップページ | マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ »
コメント