マサカの坂に備える経営対策 財務編⑭
コロナ禍のみならず、
経営にはマサカの坂がつきものです。
〇〇ショック、〇〇大震災、〇〇豪雨など。
マサカの坂は常に発生しており、いつかは直面するのです。
だからこそ、直撃を受けても倒れないよう、
経営のさまざまな側面から、備えをしておいてほしいのです。
財務編⑭ 銀行借入を見直しておく その1
運転資金としての短期借入金がいる、
設備投資としての長期借入金がいる、
など、業種や業態によって、
銀行借入による資金調達が必要になります。
しかし、決算書を拝見していると、
「どうしてこんな借り方をしているのか?」
という事実をお見受けするのです。
例えば先般、
コロナ禍で資金繰りに窮している会社がありました。
外食産業を展開していました。
厳しい状況は、皆さんもお察しできることと思います。
驚いたのは、長期借入金の返済年数です。
すべて5年の返済期限なのです。
「長期借入と言えば、少なくとも7年ですよ。
大きな設備投資なら、10年かそれ以上が普通です。
要は、そのくらいの期間で投資回収して返済できる、
ということですよ。
それがなぜおたくは全部5年なんですか?」
と尋ねました。
「いやぁ、前からずっとそうなので。」
との返答で、銀行交渉にまったくの無頓着だったのです。
貸借対照表についての知識がなく、財務音痴なのです。
長期借入金を全部5年で契約していたら、
7年や10年に比べて、
毎月の返済金額が大きくなるのは当たり前です。
それだけでも、資金繰りが厳しくなります。
「何よりもまず、
長期借入金の契約を5年から10年に借り換えなさい!」
と申し上げました。
設備投資は、長期で投資回収を見込む投資です。
だから、長期借入金の扱いです。
しかし、その返済期間は本来、
回収期間に見合うものにしてほしいのです。
この会社のように、外食産業なら通常、7年~10年以内です。
その期間内で借入返済できるだけの、返済原資が必要なのです。
その返済原資を生まないような店なら、投資すべきではないのです。
さらに、店舗を継続するなら、
それくらいの時間を経過すれば、また新たな投資が必要になるはずです。
投資回収期間に対して、
長期借入金の返済期間が短すぎないか確認し、
短いようなら、銀行交渉で長い期間に借り換えるべきなのです。
(古山喜章)
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