株式は怖い④
株式の譲渡承認について、知られていないのが、
「取締役会の譲渡承認がなくても、
株主Aさんから、Bさんへの株式譲渡(売却)は、有効である」
ということです。
会社からすると、わけのわからない人間(会社)に
株主といられるのは、気持ちが悪いわけで、
「それなら買い取ります」となるパターンが多いです。
「別に少数株主なら、そのまま持ってもらってもいいでしょう。」
と思われる方がいます。
もちろん、そのとおりです。
あくまで少数の株主であれば、
出来ることは限られています。
株主に持たせるのか、それとも、会社が買い取るのか、
これは、会社の状況によって判断すべきだと思っています。
仮に少数株主に株式を持たせた場合、
どんなことがあるとお考えでしょうか?
これには、3つあります。
①帳簿閲覧謄写請求権
②株主代表訴訟
③自分が株主であることを、言いまわり、風評を落とす
①株式の3%以上持っていれば、帳簿を見ることができます。
対象は、決算書、総勘定元帳、補助元帳です。
管理用に作成している事業別の損益とか、役員報酬だとかは、
見せる必要がありません。
また、税務申告書は見せる必要がありません。
10年間はさかのぼって見ることができます。
②1株でも持っていれば、
株主代表訴訟を起こすことができます。
③はこのとおりです。
結果的に、いろいろなリスクを検討すると、
買い取りを選択する会社が多いのです。
当然、買い取りは交渉ですが、高くつきますね。
信じられないような話ですが、
私の周りで、現実に、少数株主が見ず知らずの会社に
株式を売却してしまった、という事案が発生したのです。
つくづく、種類株式にしておけば・・・
と悔やまれた事案でした。
つい先日も、日経新聞で、
「少数株主の株式を高値で買い取ります」
という書籍が広告に出ていました。
この手の話は、今後ふえてきそうです。
(福岡雄吉郎)
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