株式は怖い③
株式の譲渡承認について、知られていないのが、
「取締役会の譲渡承認がなくても、
株主Aさんから、Bさんへの株式譲渡(売却)は、有効である」
ということです。
取締役会の譲渡承認というのは、
売り手のAさんからでも、
買い手のBさんからでも
承認を求めることができます。
この意味で、譲渡承認の意味というのは、
事前承認ではなく、事後的な承認の意味でもあるのです。
例えば、Aさんから株式を取得したBさんは、
会社に対して、
「このたび、私があたらしく株主になりました。
承認をお願いします。」と求めることができます。
この承認が求められた場合、
会社はもちろん、拒否することができます。
問題はこの後です。少しややこしいのです。
仮に新株主が、ただ単に「株主として認めてくれ」
の一点張りだとしたら、
会社は拒否することができます。
つまり、この場合に限っては、譲渡は成立しないのです。
しかし、ほとんどの場合は、
「もし、承認してくれなければ、
私(B)が持っている株式を、
会社が買い取ってください。
さもなければ、誰か別の買受人を指定して、
その方が買ってください。」
と条件を付けることができます。
こうなると、会社としては、
❶株主Bを、正式に株主として認める
❷株主Bから、株式を買い上げる
この二択になるのです。
❶でも❷でも、どちらにとっても、
会社にとっては好ましい状況ではありません。
実務的には、ほとんどの場合は、
❷を選択することになります。
(福岡雄吉郎)
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