5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」③
③作戦会議は居酒屋で
牧野専務が司令官のような形となり、
関東中央銀行をメインバンクから外すべく、
4名の若手銀行マンとの打ち合わせを進めることとなりました。
具体的に、関東中央銀行をメインバンクから外すには、
その融資額を返済して、額を減らせばいいのです。
融資額が他行よりも多い、ということだけで、
メインバンク面をしていたのです。
そのときの、
関東中央銀行からの融資額は、約35億円です。
その融資額を、せめて10億円以内にすることを、
目標としたのです。
「それだけの額を返すには、関東中央銀行に何か言ったほうが
よいでしょうか?」
牧野専務から事前に質問を受けていました。
「条件交渉を申し入れただけで、
“銀行にも考えがある”なんておどしをかけてきたのだから、
これ以上何も義理立てすることないですよ。
まとまったお金ができたら、関東中央銀行の口座に振り込んで、
“お返しします”と言えばいいんですよ。」
「やってみたいですね。どうなるでしょうね。」
「大騒ぎになるのと、
少なくとも担当者はどこかに飛ばされるでしょうね。」
というやりとりを、私と牧野専務でしていたのです。
「その4名の銀行マンとは、
どのような形で打ち合わせするんですか?」
改めて牧野専務に質問を投げかけました。
「うちの事務所の近くに、
いい感じの個室のある居酒屋があるんです。
その店に4人を呼んで、作戦会議をしようと考えています。」
「近所の居酒屋ですか!」
「そうです。もうすでに声をかけていて、全員OKです。」
こうして、まるでドラマ「半沢直樹」に登場する、
居酒屋での密談シーンのような打ち合わせが繰り広げられたのです。
作戦会議の場に集まる、4名の若手銀行マンは、
みな、異なる地方銀行の出身です。
しかもそれぞれに初対面です。
よくもまあ居酒屋に集めれたな、と感心するのと同時に、
それだけ、“打倒!関東中央銀行!!”の思いを、
各自が持っているのだな、と感じたのです。
作戦会議の冒頭、牧野専務は改めて、4人が集まる場で、
確認の言葉を伝えました。
「関東中央銀行からの融資額を減らすには、
皆さんの協力が必要です。
ただし、皆さんの銀行からお借りする条件は、
事前にお伝えしているとおり、
金利はタイボ+スプレッド、担保・個人保証はなし、
でお願いしたいのですが、みなさんよろしいでしょうか?」
「問題ありません。すでに内部で了解を得ています。」
居酒屋の個室で、
牧野専務を含め、打倒!関東中央銀行の5人組が、
まさに誓いの盃を交わすような展開となったのです。
(続く…)
(古山喜章)
« 5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」② | トップページ | 5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」④ »
「銀行交渉」カテゴリの記事
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい④(2023.07.14)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい➂(2023.07.13)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい②(2023.07.11)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい①(2023.07.10)
- 特別損失を活用しなさい(2023.05.02)
« 5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」② | トップページ | 5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」④ »
コメント