4話連続シリーズ「8億円の保険金にかかる税金をなんとかしてください!」②
②8億円の利益を分散させるなんて、簡単ですよ
「うちの社長が余命半年の診断を受けたんです。」
西日本商品企画(仮名)のオーナー、長谷川会長から連絡が入りました。
しかも、長谷川会長の心配事はそれだけではありませんでした。
その後の保険金受取によって発生する、
予想外の高額な営業外利益にも、大きく頭を悩ませていたのです。
「8億円の保険金にかかる税金を、なんとかしたいんです!」
会長からの切実な悩みをお聞きし、
法人生命保険専門のプロフェッショナル人材、
豊田氏(仮名)に相談したのです。
すると、即座に意外な言葉が返ってきたのです。
「8億円の利益を分散させるなんて、簡単ですよ。」
あまりにさらっと答えるので、
聞いているこちらが拍子抜けしてしまうほどでした。
「えっ、そうなんですか?どんな方法があるんですか?」
と、豊田氏にたずねました。
「年金受け取り払いの契約を、今から結べばいいんですよ。」
「なんですか、それは?」
「その8億円は、死亡時に受け取る保険金ですよね?」
「そうです。」
「その場合、その受け取る保険金を、
最大30年にわたって均等割りして受け取れるんです。
それが、年金受け取り払い、という特約です。」
“年金受け取り払い”とは、聞いたことのない言葉だったので、
素朴な疑問を投げかけました。
「すでに契約している保険で、そんなことできるんですか?」
「この特約は、契約時には結べない特約なんです。
いったん契約が成立した後でしか、結べません。」
「とはいえ、
もう余命半年の診断がされていて、いまさらできるんですか?」
「亡くなる前日までに、
捺印した書類1枚を保険会社に提出できれば、大丈夫ですよ。」
「どの保険会社でも、“年金受け取り払い”の特約はあるんですか?」
「役員対象の生命保険なら、必ずありますよ。」
つまり、8億円の保険金を、10年、15年などと、
分散して均等に受け取る方法が、年金受け取り払いです。
確かにそうすれば、一気に利益計上することなく、
合法的に複数年度に利益を分散させることができるのです。
「しかし、それならそうと、どうして保険会社の人は、
長谷川会長にそのことを教えないんですか?」
さらに豊田氏にお聞きしました。
「たぶんですけど、
これは保険契約後にしか結べない特約なので、
セールス目的だけの保険屋だと、この特約のことを、
そもそも知らない人もいるんですよ。
そうか、知っていても、いったん契約してしまえばそれだけで
手数料が入るので、あまり真剣に考えていないんじゃないですかね。」
なるほど、と感心しながら早速、長谷川会長に連絡したのです。
「そんな方法があるんですか!ありがとうございます!」
伝えたとたんに、安堵と喜びの声に変ったのです。
しかし、8億円の保険金となると、
その契約は1本の契約ではありません。
調べると、6社の保険会社に対して、10本の契約に分かれていたのです。
「では、各保険の担当者に連絡して、
“年金受け取り払い”の特約手続きを進めます!」
タイムリミットが迫る中、
長谷川会長は、各保険会社の担当者に連絡を取り始めたのです。
すると案の定、
すんなりとはいかない、新たな壁にぶつかったのです。
(続く…)
(古山喜章)
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