コロナで銀行の業績は向上しています①
ここ数か月、
銀行の業績上方修正の記事をたびたび見かけます。
コロナ融資額の増大による金利収入増、
保証協会の全面バックアップで与信費用縮小、
コロナ打撃企業の預金減で支払い利息減、など。
銀行にとってはプラス要素が重なっているのです。
コロナ禍の不安のなか、
現状の資金調達に問題がないか、再確認してほしいのです。
①実質金利が上がっている中小企業、増えています。
実質金利の計算式は、次のとおりです。
(支払利息―受取利息)÷(長期・短期借入金―現預金)×100
支払利息を銀行借入金だけで割るのではなく、
手持ちの現預金を差し引いて金利を計算するのが大きな特徴です。
抱えている現預金が多いほど、分母は小さくなるので、
実質金利は通常の銀行金利に比べて高くなってゆきます。
先日も、計算すると8%を超える会社がありました。
もはやバブル時期並みの金利です。
実質金利の数字が大きいほど、余計な金利を払っていて、
借入金ありきの財務体質に陥っている、ということになります。
なので、実質金利は小さいほどいいのです。
とはいうものの、実質金利がマイナスになれば、逆ザヤです。
借入金より現預金が多いと、計算結果はマイナスになります。
こうなると“借りる必要がないのに借りて金利を払っている”
という状態になるのです。喜ぶのは銀行だけです。
コロナ禍において、
「不安なのでコロナ融資を受けました。」
という企業は概ね、実質金利が上がっています。
「御社は借りなくてもよいでしょう。」と言うと、
「そうかもしれませんが、
コロナ融資は3年間、無利子ですから。」と言われます。
それでも、計算すると、
借りる前に比べて実質金利が上がっていることがあるのです。
結局、以前に比べて現金の支出が増えているのです。
“何も使わず、借りるだけ借りて、
必要なければそのまま返せばよい”
というものの、実際には手元に現預金が増えると、
支出の蛇口が緩んでしまうのです。
銀行も、そうなることをわかっていて、
「無利子ですから、あっても邪魔にならないですよ。」
などと、そそのかすのです。
必要なければ借りず、いつでも借りれる融資枠だけ確保している、
という会社は、コロナ禍で必要な物品が増えても、
他の経費を抑えて現金支出が変わらないようにしています。
キャッシュコントロールができているのです。
なので、実質金利も上がらず維持できるのです。
不安な世相は、銀行にとってはチャンスです。
銀行の思惑と誘惑に、安易に傾かず、
必要な時にだけ、お金を借りてほしいのです。
今一度、自社の実質金利がコロナ以前より上がっていないか、
チェックしてみてはいかがでしょうか。
(古山喜章)
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