手形廃止を活用せよ③
2021年2月18日の日本経済新聞で、
「紙の手形2026年廃止」の記事が掲載されました。
手形に関しては昨年9月にも、
「手形決済期限120日から60日に短縮(2024年まで)」
の記事が発表されました。
支払手形という日本固有の古き商習慣は、消えつつあるのです。
③手形割引は借金と同じです
決算書を拝見すると、
貸借対照表の欄外や、個別注記表のところに、
“手形割引残高”として金額が記載されている場合があります。
取引先から手形を受け取り、
決済期限までに割り引いて現金化したうちの、
まだ決済されていない手形の残高が書かれています。
そこに1億の残高が記載されていれば、
「これが決済できなければ、わが社は1億の負債をかぶります。」
と書いているのと同じなのです。
要は、手形の期限がきて決済されるまでは、
手形を担保にお金を借りているだけで、
手形割引による現金化は、借金と同じなのです。
そして割引料は、金利と同じなのです。
貸借対照表の面積グラフを作成する際、
簿外に手形割引債務の記載があれば、
その金額を加えて面積グラフを作成します。
そうしないと、本当の債務状況が見えないからです。
面積図の変化でいうと、こうなります。
流動資産に売上債権が増えて、流動負債に割引手形が増えます。
総資産と総資本が、割引手形残高の分、増えるのです。
そうしてみると、
自己資本比率は下がり、総資産回転率も下がります。
それが真の財務状況となるのです。
現実の姿を把握していないと、手形が決済されないといった、
マサカの事が起こった際に、慌てふためきます。
どのような財務状況に陥っているのか、わからないのです。
割引手形の残高が簿外に記載されている貸借対照表は、
仮の姿にすぎません。
その状況が良好だからと、喜んでいてはいけないのです。
割引手形の残高を上乗せしてどうなるかが、重要なのです。
受取手形がなければ当然、手形を割り引くことはありません。
貸借対照表に書かれた数字が真の姿となります。
みせかけの数字に惑わされないためにも、
受取手形をやめる交渉をし、現金取引に変えてゆきたいのです。
(古山喜章)
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