リースについて知っておきたいこと①
機械設備等を導入の際、
リース契約の活用を検討することがあります。
リースも銀行同様、資金調達のひとつなのです。
しかしながら、リース活用のポイントについては、
あまり知られていないと感じるのです。
①買うのがいいですか?それとも、リースがいいでしょうか?
まず多いのが、この質問です。
「今度、加工ラインに新たな設備を導入予定なんですが、
買ったほうがいいでしょうか?
それとも、
リースにしたほうがよいでしょうか?」
基本的な考え方として、
キャッシュリッチな会社は買ったほうがよいです。
逆に、
資金繰りが楽ではない会社は、リースにしたほうがよいです。
要は、その会社の財務状況を見て判断することになるのです。
リース契約をして設備を導入するとなると、
リース会社がその物件を買うことになります。
そしてその設備を借りるのがリース契約です。
リース会社は資金調達をするので金利も発生します。
その物件を貸すにあたって、手数料も取ります。
自社で買うよりも総額が大きくなるのは当たり前です。
そして、設備を使う会社はリース料を損金計上してゆきます。
資金繰りが楽ではない会社の場合、
購入代金を全額新たに銀行借入して買うと、
元金返済と金利が増えます。財務体質は、より悪くなります。
銀行格付け(スコアリング)の評価を落とすことにも繋がります。
それなら、支払い総額は増えるものの、
リース料を払って損金計上するほうが、
資金繰りや格付け(スコアリング)への影響は少ないのです。
キャッシュリッチな会社の場合、
新規の借入なしか、一部借入で、自社購入するケースが多いです。
借入を抑えられ、元金返済や金利負担も少なくて済みます。
もしくは、購入代金の全額を借入れするとしても、
ギヤリング比率が100%以内なら、財務体質上も、
問題ありません。
ギヤリング比率は、純資産総額に対して、
長期・短期の銀行借入がどれだけあるか、を見る指標です。
ギヤリング比率(%)=(長期借入+短期借入)÷純資産×100
で計算します。
このギヤリング比率が100%以下なら、
新規に借入をしても財務体質への影響は小さいのです。
それに、今なら即時償却制度が使えます。
(2023年3月末までです。)
新規設備を自社で購入し、全額一気に単年度で償却すれば、
税引き前利益を一気に下げることができます。
キャッシュフローに大きく貢献することとなります。
上乗せ分の減価償却は、特別減価償却として、
特別損失に計上することとなるので、
営業利益や経常利益を縮めることはありません。
新規設備を導入するなら、自社の財務状況を考えた上で、
リースによる調達をするのかしないのか、を考えるのです。
単純にどちらがいい、というものではないのです。
(古山喜章)
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