コロナ禍のおかげで・・・④
ここまでコロナ禍が続くとは、
誰もが思わなかったなか、
“コロナ禍のおかげで、こうなりました。”
という、
経営者のさまざまな声を、お聞きしました。
④いつのまにか借入金が増えていました
コロナ禍に入って一年以上を経過し、
そのなかで年度決算を終えられたと思います。
その決算書を拝見すると、
数字に異変が起こっている会社が目に付くのです。
飲食、ホテルなど、コロナの影響をもろに受けた業界は、
剰余金が大幅に落ちています。
損益計算書が大赤字なのです。
当然、借入金も大幅に増えています。
これは仕方がありません。
問題は、コロナの影響を受けいていない会社です。
業績にほぼ影響を受けていないのに、
貸借対照表の現金と借入金が、前年に比べて異常に増えている、
という会社を、チラホラお見受けするのです。
現金と借入金が一気に増えて、総資産が大きく膨らんでいるのです。
つまり、コロナ融資をたくさん受けたのです。
“コロナの影響はなかったのですが、
金利は3年間ゼロだから、と銀行に言われたので…。”
といった理由が一番多いです。
なかには、
“いつのまにか借入金が増えていました。”
ということもありました。
“どういうことですか?”と尋ねました。
“母親が経理をしていて、銀行対応もしているんですが、
なんの連絡もないまま、金利ゼロのコロナ融資を
いくつか受けていたんです。”
“社長の会社はコロナの影響なんて受けていないし、
コロナ融資なんていらないでしょ。”
“そうねんですよ。私も母親にそう言ったんですが、
何があるかわからないから不安だし、
3年は金利がゼロなんだから、と言われました。”
で、結局、決算書に残ることになり、総資産が異常に膨らんだのです。
銀行にすれば、
コロナの影響を受けていない会社に貸すのが、
一番安全なのです。おそらく…、
“この先も何があるからわからないし、”
金利はゼロですから、借りておいたほうがいいですよ。”
などと、銀行員からそそのかされたのでしょう。
しかもよく聞くと、当座貸越枠もあり、
何かあれば、いつでも数億円を調達できるのです。
なのにそれとは別に、コロナ融資を受けているのです。
つまり、銀行員から、
“この会社の経理の女性は、社長の母親で銀行取引に権限があり、
不安をあおればきっと融資を受けてくれるはず。”
と思われて、狙われていたのです。
このようなことは、同族会社の悪しき習慣です。
通常の会社なら、社長になんの了解もなく、
多額の融資を受けることなどありえません。
身内、それも母親が経理を担当し、
社長も普段からまかせっぱなしになっているから、こうなるのです。
組織の承認手順など、まったく理解されていないのです。
結局、余計な借入金をすぐに返済しましたが、
決算日を越えたあとなので、決算書にコロナ融資は残ったままです。
事前の決算対策を怠ると、このようなことが起こりえるです。
母親が経理の会社は特に、気を付けてほしいのです。
(古山喜章)
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