なぜ現金を過剰に積み上げるのか ②
今も多くはびこる悪しき財務体質は、
現預金を過剰に積み上げる、「現預金肥大症」です。
しかもその感染力は、強力です。
コロナ等の不安要素が高まるほど、
この症例を抱える財務体質の会社が、増えるのです。
②借りれるときに借りないと、の嘘
現預金を過剰に抱える会社の経営者に、
なぜそんなに現預金を持つ必要があるのか聞くと、
「借りれるときに借りておかないと、
不測の事態に陥ったら、借りれるかどうかわからない。」
と本気でおっしゃる方がまだおられます。
例えば、コロナだけでなく、震災や水害など、
不測の事態はさまざまです。
もし、売上が一気に冷え込んだ時に、
借りれるだけ借りていたら、どうなるのでしょうか。
「借りれるだけ借りていたら、
給与は払えますし、仕入れの支払いもできます。
しばらくは資金繰りに困らないのではないでしょうか。」
とおっしゃった経営者がおられました。
しかし、それでどうなるのでしょうか。
当然、既存融資の返済もあります。
借りれるだけ借りている状態では、もはや追加の融資は受けれません。
銀行は返済能力が高く、借金がない会社にこそ、貸したいのです。
「いや、そんなことないですよ。」
という経営者がいました。
聞くと、目いっぱい借りている銀行が、
別の銀行を紹介してくれた、というのです。
それは、その銀行の事実上傘下にある、格下の銀行でした。
「この銀行なら融資できますので、
そちらで融資を受けていただき、うちの分は返済をお願いします。」
と言われたのです。
何のことはない、先の銀行は回収に走って他行へ押しつけ、
遠回しに貸しはがしを受けているのです。
そんなことにも気づいていないのです。
それに、
借金が少ないほうが、不測の事態に陥った時でも、
支払いを待ってもらう、ということは、
何かにつけて受け入れてもらいやすいです。
ところが、借金だらけの会社から、待ってくれ、
と言われたら、どうでしょうか。
債権者の立場であれば、
不安になり、余計に早く回収したくなるはずなのです。
どう言われようが、安心できないと思うのです。
銀行は、返済が見込める限度までは貸します。
しかし、それ以上は貸さないのです。
お金を貸す商売である以上、それが当たり前なのです。
(古山喜章)
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