役員報酬はいくらが妥当か?③
役員報酬を抑えて会社を肥やした場合、
社長がなくなると、その財産は、
高騰した自社株式と土地が中心で、
現金はといえば、ほとんど残っていません。
後を継いだ社長は、銀行から借入をして相続税を払う、
というケースも現実にでてくるのです。
借金を返済しようと思えば、
役員報酬を高くして、返済原資を生むしかありません。
しかし、当然ながら、その役員報酬には、
高い所得税がかかってきます。
「悲しいかな、この30年、銀行借入を返済するためだけに経営してきたようなものです・・・。息子には絶対にその思いをさせたくない。
借金返済のことを考えず、ひたすら事業に集中して、
会社を成長させてほしいです。
借金地獄だと、頭のなかも、会社の事業に100%集中できないのです。」
このようにおっしゃった社長が現実におられます。
また、経営者が役員報酬を低く抑えてしまうと、
その後継者や幹部の役員報酬も低くなってしまいます。
業績が厳しければやむを得ない面はありますが、
経常利益を、毎期2億円、3億円も出しながら、
創業会長が80万円ほどしかもらっていない、という会社もあります。
この会長の齢は80歳を超え、「今さら、そんなにもらったってなぁ~」などと言います。
80歳を超えれば、若い時分に比べれば、お金を使うこともないでしょう。
この会社の株式対策も完了しており、確かにこの会長がたくさんの役員報酬をもらう必要性は低いでしょう。
しかし、後を引き継ぐ後継者の給料は、当然、会長より少ない月額70万円です。年商60億円、経常利益2、3億円の会社の社長からすれば、さみしい金額です。
これでは後継者、幹部のモチベーションは上がらないし、
有能な人材も集まりません。おまけにこういう会社のトップに限って、
「うちの幹部は、どうも燃えない」などと嘆かれるわけです。
当たり前です。
権限移譲も、役員報酬も中途半端にもらって、どうしてやる気が出るのでしょうか。
「会社は経営者の器以上に大きくならない」とよく言いますが、
後継者に譲らない、報酬も与えない、
では会社の器が大きくなるわけがありません。
会社を成長させようと思えば、まずは役員報酬を上げていただきたいのです。
(福岡雄吉郎)
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