子会社のススメ②
「子会社はありますか?」
とお聞きした際、
「いえ、ありません。」
と返事をいただくことがあります。
本業の1社のみで経営をされているのです。
しかし、様々な経営課題を解決してゆくうえで、
子会社は何かと便利な存在なのです。
②オフバランス(不良資産除却)に活用できる
例えば、
固定資産の中に簿価よりも価値が大きく下がった土地があれば、
「子会社へ売って売却損を出しなさい!」
とアドバイスします。
帳簿価格よりも価値が下がった資産を売ったり、
除却したりして、資産総額を減らすことを、
オフバランスと言います。
価値の落ちた資産を外部に放出し、
総資産を小さく圧縮するのです。
と同時に、大きな売却損を特別損失に計上できれば、
節税要素にもなるのです。
そのような取り組みをする際、
大きく活用できるのが、子会社なのです。
土地等の資産を売るといっても、売り先は簡単に見つかりません。
まして、売ったあとも使いたい土地や建物であれば、
なおのこと、そのような融通を効かせられるのは、
子会社しかないのです。
ただし、オフバランスを目的として子会社を作る場合には、
株主構成への配慮が必要になります。
グループ法人税制というルールがあり、同族100%の子会社では、
先に書いた売却損を、損金計上することができないのです。
なので、5%は同族以外の方に株式を持ってもらうのです。
「1%ではダメですか?」と聞かれることがあります。
グループ法人税制のルールからすれば、1%でも、
同族以外の者が株主にいれば、そのルールから外れます。
しかし、その子会社で親会社の土地や建物を買う際に、
銀行から資金調達しようとすると、
同族外株主1%では、融資を渋る銀行があるのです。
節税の匂いがしすぎるスキームに、審査部が警戒するのです。
「じゃあ、どれくらい持っていたらいいんですか?」
と聞くと、概ねどの銀行も、
「5%ならOKです。」と答えます。
「どうして5%なら大丈夫なんですか?」と尋ねると、
「5%以上の株主なら、大量保有者になるからです。」
とのことだったのです。
その5%を持ってもらうのは、同族外の番頭の方がベストです。
「しかし、お金を出すのをいやがりませんか。」
と心配する経営者がいます。
もちろん、そのお金は経営者がポケットマネーを番頭に渡し、
「このお金で出資金として振り込んでくれ。」
とお願いするのです。
だから協力してくれるのです。
番頭にお金を出してもらう、という発想は、アウトなのです。
このように、オフバランスで
貸借対照表の不良資産を圧縮するときに、
子会社は大いに有効活用できるのです。
(古山喜章)
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